日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。
2019年10月05日|近藤会計
小田原の税理士の近藤慎之助です。
お客様よりご質問がありました、
「相続開始日の預貯金の残高より解約日の預貯金の残高が増えているのですが、この差額には何か税金がかかるのでしょうか、」
というご質問です。
こうゆうのってフとした疑問だと思います。
預貯金の差額に対して税金がかかると言うよりも
預貯金が増加した要因は何なのか、その内容によって課税関係もかわってきます。
預貯金の増加要因としては、例えば被相続人の年金が年金受給者死亡届の提出が遅れたことでいつも通りの年金受取口座に振り込まれていることがあります。通常は、未支給年金に該当し、本来受け取るべき相続人等の一時所得として整理されます。一時所得の計算上、支給された未支給年金から50万円を控除するため、その他の一時所得がない限り、相続人で未支給年金による所得が生ずることはまずありません。
その他、高額療養費の相続開始日後の入金は未収入金として相続税の課税対象となります。
あるいは個人年金の相続開始日後の入金も同じく未収入金として相続税の課税対象となります。
相続開始日後の預貯金の増減は、相続税の計算、被相続人あるいは相続人の所得税の計算に関係してくることが
多いですから、特に多額に変動している場合には内容を精査する必要があります。
2019年10月04日|近藤会計
小田原の税理士の近藤慎之助です。
転用許可を受けていない農地(耕作権含む)の譲渡の取り扱いですが、
必ずしも何でも未許可耕作権が譲渡所得となるわけでなく、
事実認定を前提に、例えば戦前からの賃貸借による農地法上の許可を得ていない農地が事実上売買されている場合など、限定的な取り扱いになると思います。
この事実認定を判断するのは難しいところですが、小作料の支払い状況、水利賦課金、米生産補助金の受領状況等を丁寧に判断する必要があるのではないでしょうか。
使用貸借による農地の離作料は贈与として処理されますよね。(質疑応答事例より)
詳しくは逐条解説が参考になりますが、
加えて、昭和55年10月24日の京都地裁の判決も参考になります。
(転用未許可農地)
31・32共-1の2 農地法第3条第1項《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》若しくは第5条第1項《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》の規定による許可を受けなければならない農地若しくは採草放牧地又は同項第6号の規定による届出をしなければならない農地若しくは採草放牧地を取得するための契約を締結した者が当該契約に係る権利を譲渡した場合には、当該譲渡による譲渡所得は、措置法第31条又は第32条の規定の適用がある譲渡所得に該当するものとする。
相続税・贈与税 質疑応答事例 抜粋
使用貸借に係る農地の離作料と贈与税
【照会要旨】
H市に所在する農地を妹(H市に居住)が兄(O市に居住)から使用貸借により借り受け、(この使用貸借については農地法の規定による許可を受けている。)耕作していましたが、その農地を兄が譲渡し、その譲渡代金の一部を離作料として妹に対して支払いました。
この場合、妹は兄から受領した離作料について贈与税の課税関係が生ずることになりますか。
【回答要旨】
農地の使用貸借に関する権利の価額は零として評価することとしています。
したがって、妹は兄から離作料相当額の金銭の贈与を受けることとなるので妹に対して贈与税の課税関係が生ずることとなります。