日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。
2020年08月14日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
ご質問がありましたので、
相続人が相続放棄した場合の相続税への影響について確認です
細かい論点は省いて、主に次の点に注意が必要ではないでしょうか
・相続税の基礎控除・・・放棄がなかったものとして基礎控除を計算します、つまりそのままということです
・生命保険の非課税枠・・・こちらも放棄がなかったものとして非課税枠はそのままですが、放棄した相続人は非課税枠を利用できなくなります
(死亡退職金の非課税枠)
・相続税の2割加算・・・放棄した相続人はすでに相続人ではないのですが、条文通り放棄した相続人が被相続人の一親等の血族又は配偶者であれば、相続税の2割加算は適用されません。放棄しているので通常取得する遺産もありませんが、たとえば、放棄した相続人を受取人に指定していた生命保険金への課税などがこれに該当します
なお、相続人が放棄したことにより、次順位の相続人が遺産を相続等した場合には、やはり当該者が被相続人の一親等の血族又は配偶者に該当しなければ2割加算の対象になります、相続放棄した場合にはこれに該当する場合が多いです
しかし、上記を条文で確認すると意外に難しい気がしますが、合っていますでしょうか、、、前にも条文で確認したと思っていたのですが、う~ん
なお、忘れやすいのが相続時精算課税を適用している相続人が相続放棄をしていたとしても、基礎控除を超えていれば申告が必要ですから注意が必要です
また、配偶者の税額軽減については、配偶者が放棄していたとしても適用可能となります
相続税法
(遺産に係る基礎控除)
第十五条 相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格(第十九条の規定の適用がある場合には、同条の規定により相続税の課税価格とみなされた金額。次条から第十八条まで及び第十九条の二において同じ。)の合計額から、三千万円と六百万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて算出した金額との合計額(以下「遺産に係る基礎控除額」という。)を控除する。
2 前項の相続人の数は、同項に規定する被相続人の民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人の数(当該被相続人に養子がある場合の当該相続人の数に算入する当該被相続人の養子の数は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める養子の数に限るものとし、相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人の数とする。)とする。
(相続又は遺贈により取得したものとみなす場合)
第三条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす。この場合において、その者が相続人(相続を放棄した者及び相続権を失つた者を含まない。第十五条、第十六条、第十九条の二第一項、第十九条の三第一項、第十九条の四第一項及び第六十三条の場合並びに「第十五条第二項に規定する相続人の数」という場合を除き、以下同じ。)であるときは当該財産を相続により取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈により取得したものとみなす。
一 被相続人の死亡により相続人その他の者が生命保険契約(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第三項(定義)に規定する生命保険会社と締結した保険契約(これに類する共済に係る契約を含む。以下同じ。)その他の政令で定める契約をいう。以下同じ。)の保険金(共済金を含む。以下同じ。)又は損害保険契約(同条第四項に規定する損害保険会社と締結した保険契約その他の政令で定める契約をいう。以下同じ。)の保険金(偶然な事故に基因する死亡に伴い支払われるものに限る。)を取得した場合においては、当該保険金受取人(共済金受取人を含む。以下同じ。)について、当該保険金(次号に掲げる給与及び第五号又は第六号に掲げる権利に該当するものを除く。)のうち被相続人が負担した保険料(共済掛金を含む。以下同じ。)の金額の当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分
(相続税の非課税財産)
第十二条 次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
~
五 相続人の取得した第三条第一項第一号に掲げる保険金(前号に掲げるものを除く。以下この号において同じ。)については、イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、イ又はロに定める金額に相当する部分
イ 第三条第一項第一号の被相続人のすべての相続人が取得した同号に掲げる保険金の合計額が五百万円に当該被相続人の第十五条第二項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額(ロにおいて「保険金の非課税限度額」という。)以下である場合 当該相続人の取得した保険金の金額
ロ イに規定する合計額が当該保険金の非課税限度額を超える場合 当該保険金の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した保険金の合計額の占める割合を乗じて算出した金額
(相続税の非課税財産に関する経過措置)
第二十四条 新相続税法第十二条第一項第五号及び第六号の規定は、昭和六十三年一月一日以後に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について適用し、同日前に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税については、なお従前の例による。この場合において、同日から施行日までの間に相続又は遺贈により取得した財産に係るこれらの規定の適用については、これらの規定中「第十五条第二項に規定する相続人の数」とあるのは、「相続人(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人)の数」とする。
相続税法基本通達
(相続を放棄した者等の取得した保険金)
12-8 相続を放棄した者又は相続権を失った者が取得した保険金については、法第12条第1項第5号に掲げる保険金の非課税金額の規定の適用がないのであるから留意する。
(相続税額の加算)
第十八条 相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続又は遺贈に係る被相続人の一親等の血族(当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつた当該被相続人の直系卑属を含む。)及び配偶者以外の者である場合においては、その者に係る相続税額は、前条の規定にかかわらず、同条の規定により算出した金額にその百分の二十に相当する金額を加算した金額とする。
2 前項の一親等の血族には、同項の被相続人の直系卑属が当該被相続人の養子となつている場合を含まないものとする。ただし、当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつている場合は、この限りでない。
相続税基本通達
(遺贈により財産を取得した一親等の血族)
18-1 相続の放棄をした者又は欠格若しくは廃除の事由により相続権を失つた者が遺贈により財産を取得した場合において、その者が当該遺贈に係る被相続人の一親等の血族(法第18条第1項に規定する一親等の血族に限る。)であるときは、その者については、法第18条の相続税額の加算の規定の適用がないのであるから留意する。
(配偶者に対する相続税額の軽減)
第十九条の二 被相続人の配偶者が当該被相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した場合には、当該配偶者については、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した残額があるときは、当該残額をもつてその納付すべき相続税額とし、第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額以下であるときは、その納付すべき相続税額は、ないものとする。
一 当該配偶者につき第十五条から第十七条まで及び前条の規定により算出した金額
二 当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の総額に、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額が当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額のうちに占める割合を乗じて算出した金額
イ 当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額に民法第九百条(法定相続分)の規定による当該配偶者の相続分(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続分)を乗じて算出した金額(当該被相続人の相続人(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人)が当該配偶者のみである場合には、当該合計額)に相当する金額(当該金額が一億六千万円に満たない場合には、一億六千万円)
ロ 当該相続又は遺贈により財産を取得した配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額
相続税法基本通達
(相続を放棄した配偶者に対する相続税額の軽減)
19の2-3 配偶者に対する相続税額の軽減の規定は、配偶者が相続を放棄した場合であっても当該配偶者が遺贈により取得した財産があるときは、適用があるのであるから留意する。
2020年08月12日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
依頼者の提示したワープロの遺言書を基に、法定相続人ではない親族が遺産を取得できるように遺言書を偽造したと、
おぉ、と思わず思ってしまうニュースですね、
弁護士への依頼主が法定相続人ではない点で、うーんとうなってしまう感じがしますが、、、
しかしどのような経緯で発覚したのでしょうか、
2名の法定相続人以外の親族から別々に遺言文案のようなものの提示があったようですが、故人は各所で遺言なるものを頻繁に残すような方だったのか、
あるいはたまたま想像力豊かな親族が多かったのか、
どこかでブレーキをかけられれば良かったのだと思います
税務申告もそうですが、脱税や法律違反の相談は受けませんと、
しっかりと柱を持たないとフとした瞬間があるのかもしれません
ちなみに持ち込んだ親族はどうなるのでしょうか、相続欠格(民法891条5号)はあるとしてもそもそも相続人ではないですから、
偽造したわけでもないですから、何もおとがめなしでしょうか??
気をつけましょう、、、
2020年08月10日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
菅野真美先生の税理士のための民事信託を読みました、
税務上の一連の流れが掲載されており参考になること間違いありません!
信託契約書の文案もありますが、各年度の確定申告書、支払調書、信託の計算書、相続税の申告書と、最後までフォローされています。まだ私も実務上の経験はありませんが、ちらほら組成に携わる案件も出てきました
複雑な信託契約は税務上も複雑になり、かつ、裁決事例、判例もないことが多いですから、不明な点を残したままの組成になる可能性があります
お客様のためを思って組成した信託契約が、結局は家族関係を複雑にしてしまった、ということのないように、書面だけでの解決を夢みないように注意しないといけないですね
信託組成は選択肢の一つであって、関係者に十分にご説明したうえで選択いただくものだと思っています
この菅野先生の本のすばらしいところは、最後に実務で一番大事な問題を提起して終了することろでして、
必読の一冊です!!
2020年08月07日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
次の2つの特例をあわせて、中高層耐火建築物等の建設のための買換え特例、といいます
特定民間再開発事業の特例(措置法37条の5①項1号)
中高層耐火共同住宅建築の特例(措置法37条の5①項2号)
中高層耐火共同住宅建築の特例の対象地域はイロハの地域内にある土地等、建物又は構築物である必要があります
イ 既成市街地等の区域
ロ 既成市街地等に準ずる区域として指定された区域 首都圏整備法第2条4項に規定する「近郊整備地帯」
ハ 中心市街地共同住宅供給事業の区域
このうちロについては国土交通大臣が財務大臣と協議して指定した区域とされています(昭58.3.31国土庁・建設省告示第1号、平4.3.31国土庁・建設省告示第1号改正)
しかしこの情報にたどり着けない、、、
近場で平塚市ってところでしょうか、小田原税務署管轄は対象地域に入っていなさそうですが、、、
引き続き告示探します
2020年08月05日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等及び外国貨物の引取りです。
あるいみすべてがこの一文に含まれていると思うのですが、
思いのほか個人の譲渡所得に関して、消費税が課税対象なのかどうか判断に迷われている方が多いようです、
事業者であっても、事業として対価を得ていない場合は課税対象ではく、そして
「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を繰り返し、継続、かつ、独立して行うことをいいます。
1 課税事業者が事業用の資産を譲渡した場合
この場合の譲渡は、事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡となりますので消費税等が課税されます。
2 課税事業者が生活用の資産を譲渡した場合又は免税事業者や事業者でない者が資産を譲渡した場合
この場合は、消費税等は課税されませんので、譲渡価額には消費税等の額は含まれません。