日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。
2020年10月28日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
令和元年10月4日裁決より
法人税の重加算税取消事案です
法人の従業員が当該従業員の妻を下請業者とする外注取引により外注費を法人より受け取っていたが、これら一連の取引が架空外注費として法人の隠ぺい仮装に該当するかどうか
1.従業員の地位権限について
一使用人としての限定されてものであった
2.従業員の行為態様について
当該架空外注費として受け取った金員は従業員のゴルフ代飲食代に私的に費消されているなどの状況から、法人の業務の一環ではない
3.従業員に対する管理監督について
従業員などの詐取行為を防止するための管理監督が十分であったとはいえない
上記より
審判所の判断として、従業員の行為は仮装に該当するが、従業員の行為を法人の行為と同視することはできないとし、重加算税の賦課要件を満たしていないことから、重加算税の賦課決定処分の全部を取り消している
令和元年10月4日公表裁決より一部抜粋
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しかし、納税者以外の者が隠蔽又は仮装する行為を行った場合であっても、それが納税者本人の行為と同視することができるときには、形式的にそれが納税者自身の行為でないというだけで重加算税の賦課が許されないとすると、重加算税制度の趣旨及び目的を没却することになる。
したがって、納税者が法人である場合、法人の従業員など納税者以外の者が隠蔽又は仮装する行為を行った場合であっても、それが納税者本人の行為と同視することができる場合には、納税者本人に対して重加算税を賦課することができると解するのが相当である。
そして、従業員の行為を納税者本人の行為と同視できるか否かについては、1その従業員の地位・権限、2その従業員の行為態様、3その従業員に対する管理・監督の程度等を総合考慮して判断するのが相当である。
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2020年10月27日|近藤会計
比較ビズさんの「小田原市のおすすめ税理士10社」にご紹介いただきました♪
ありがとうございましたm(__)m
2020年10月27日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
令和1年11月19日裁決
相続税にかかる重加算税の取消事案です
読んでみたら週刊や月刊の税務雑誌で最近よく取り上げられている事案でした
税理士が調査対応時に、私に見せていないのだから隠ぺいと言えるかも、というようなことを調査官に申述したことを取り上げられている件、ですね
そんなのは税理士の感想に過ぎないので、どちらでもよいと思いますし審判所もそのように判断しています
だいぶご高齢の相続人(逆縁)なので、被相続人の預貯金を税理士に提示し忘れてしまったと思われるようで
相続後すぐに、税理士に非提示だった預貯金を換金し自身の預貯金に入れた後、そのままにしていた状況なので
審判所はこのような状況(1.本件預貯金の通帳も調査時に調査官にちゃんと提示している2.相続人が換金して自身の預貯金に入れた後、当該口座を解約などしていない)をもって、相続人が本件預貯金を故意に相続財産から除外する意思があったものと認め難いと判断しています
2020年10月26日|近藤会計
大井町四季の里より
税理士の近藤慎之助です
令和2年3月17日裁決 相続税
土地の評価についてですが、
当初申告を刷新するつもりなのか、論点多すぎるように感じます
土地7か所につき見直していて、なんだかなという感じは受けてしまいます
そして、預貯金に関しては隠ぺいがあり重加算税の賦課が確定しています
という前提で、大きく区分して
1.広大地に該当するか
2.借地権の有無
3.雑種地等の比準地目の判定
という感じでしょうか
広大地だけの裁決なら今更かなと思いましたが、他の論点は面白かったです
ちなみに広大地には該当しないという結論です
借地権の有無については、土地上で営む事業などの主たる目的により判断すべきという、最近の月刊税理笹岡先生の記事の勉強が生きてきます
この事案では、主たる目的はリース商品である建設機械及び車両等の保管場所を確保することである、としています
よって、建物の所有を目的とする土地の賃借権に該当しないとして、借地権は無しと判断しています
雑種地等の比準地目の判定は、宅地比準と判断していますが、転用許可済農地とは宅地転用許可済農地ということなんでしょうね
ちなみに、審判所から株価の過大評価を指摘されており、株価が下がっています、きっと税理士案件だとは思うのですが、、、
その他、隠ぺい仮装事案の配偶者の税額軽減額について、税務署の計算の誤りについても指摘していますが、これについては、もう少し掘り下げたいと思います
2020年10月22日|近藤会計
税理士の近藤慎之助
脱税は犯罪だと思いますが、
犯罪としての意識が薄いのではないかといわれています
速報税理2020年10月21日号より
相続税の過少申告が逋脱罪が成立するかどうかの事案では結果として納税者には逋脱の意図はなかったと認められたようですが、
(納税者に逋脱の意図が無かった一番の理由として、税務調査が入るまでのいずれの時点においても、被告人が、脱税のため、あるいは脱税発覚防止のための隠蔽工作等を行った形跡がまったくないこと、を挙げている)
名義財産については税理士からそれが相続財産になるとの説明が無く、知っていたら初めから申告した、という主張があったようで
約3億超の名義財産等の申告漏れですが、恐ろしい話です
『逋脱罪の構成要件である詐偽その他不正の行為とは、逋脱の意図をもって、その手段として賦課徴収を不能もしくは著しく困難ならしめるようななんらかの偽計その他の工作を行うことをいうものと解するのを相当とする』
(税理士 近藤慎之助)
刑罰について
所得税法
第六編 罰則
第二百三十八条 偽りその他不正の行為により、第百二十条第一項第三号(確定所得申告)(第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)に規定する所得税の額(第九十五条(外国税額控除)又は第百六十五条の六(非居住者に係る外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした所得税の額)若しくは第百七十二条第一項第一号若しくは第二項第一号(給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告)に規定する所得税の額につき所得税を免れ、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による所得税の還付を受けた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
法人税法
第五編 罰則
第百五十九条 偽りその他不正の行為により、第七十四条第一項第二号(確定申告)に規定する法人税の額(第六十八条(所得税額の控除)又は第六十九条(外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)、第八十一条の二十二第一項第二号(連結確定申告)に規定する法人税の額(第八十一条の十四(連結事業年度における所得税額の控除)又は第八十一条の十五(連結事業年度における外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)、第八十九条第二号(退職年金等積立金に係る確定申告)(第百四十五条の五(申告及び納付)において準用する場合を含む。)に規定する法人税の額若しくは第百四十四条の六第一項第三号若しくは第四号(確定申告)に規定する法人税の額(第百四十四条(外国法人に係る所得税額の控除)において準用する第六十八条の規定又は第百四十四条の二(外国法人に係る外国税額の控除)の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同項第三号又は第四号の規定による計算をこれらの規定を適用しないでした法人税の額)若しくは第百四十四条の六第二項第二号に規定する法人税の額(第百四十四条において準用する第六十八条の規定により控除をされるべき金額がある場合には、同号の規定による計算を同条の規定を適用しないでした法人税の額)につき法人税を免れ、又は第八十条第七項(欠損金の繰戻しによる還付)(第八十一条の三十一第六項(連結欠損金の繰戻しによる還付)又は第百四十四条の十三第十三項(欠損金の繰戻しによる還付)において準用する場合を含む。)の規定による法人税の還付を受けた場合には、法人の代表者(人格のない社団等の管理人及び法人課税信託の受託者である個人を含む。以下第百六十二条(偽りの記載をした中間申告書を提出する等の罪)までにおいて同じ。)、代理人、使用人その他の従業者(当該法人が連結親法人である場合には、連結子法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者を含む。第百六十三条第一項(両罰規定)において同じ。)でその違反行為をした者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
相続税法
第八章 罰則
第六十八条 偽りその他不正の行為により相続税又は贈与税を免れた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の免れた相続税額又は贈与税額が千万円を超えるときは、情状により、同項の罰金は、千万円を超えその免れた相続税額又は贈与税額に相当する金額以下とすることができる。