日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。
2017年08月13日|近藤会計
小田原の税理士の近藤慎之助です。
先日、法人のお客様のところに税務署の反面調査がありまして、
その内容が、不動産の売主の生活の拠点の確認というものでした。
生活の拠点が不動産売買の税務上大きな問題になるのは、
おそらく2つ
1.売主の居住用財産の3000万円控除
2.売主が非居住者の場合の買主側の源泉徴収義務
今般の反面調査は売主の居住用財産の3000万円控除についてのようでした(担当官ははっきりとは言いませんでしたが、)。
2時間ほど買主様に生活の状況等を質問をされて帰られましたが、、、
生活の拠点の確認ほど難しいものは無いな、と改めて感じました。
だって、この人がどこに生活していたかなんて、物証は無いわけですから、間接証拠を集めるしかないわけで、
近隣住民の証言、電気水道メーター、住民票の記載、家屋の状況等から総合勘案することになりますが、
とっても骨の折れる作業になります。
逆に税理士としては、表面的に住民票のみで生活の拠点を判断するのは大変に危険なことで、
最低限として売主側の最近の生活状況をヒアリングする必要があることになります。
ちなみに、納税者はこんな感じに一生懸命に主張しています。
請求人は、本件家屋において、クーラーや暖房器具を使わず、テレビをほとんど見ず、LED電球を利用しており、
カセットコンロを持ち込み、ウェットティッシュで体を拭き、飲み水を購入したり、公園の水道を利用したりして生活していた。
また、本件家屋における電気、ガス及び水道の使用量について、顕著な増減はないが、
これは請求人において生活費も極力抑えて生活しなければならなかったためであり、電気ガス及び水道を使用しなかったと
しても、それが本件家屋で居住していない根拠とならない。
審判所の判断はこんな感じです。
(平成28年3月16日裁決)
ガス及び水道の使用実績がなく、電気の使用量は極めて少ないこと、本件家屋の窓ガラスが割れたまま放置され、複数の近隣住民が人の住める建物ではなかったと評していること、また、請求人が住民票上の住所を本件家屋とは別の借家の所在地に置いていたこと、当該借家に係る賃貸借契約及びその更新の際に、請求人が同居人として名を連ねていたことなどからすれば、請求人が本件家屋を真に居住の意思を持って客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたとは認められない。