日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。
2019年09月06日|近藤会計
生前贈与を受けた際に相続時精算課税を選択された方もいらっしゃると思うのですが、
相続時精算課税を選択したことを必ずしも覚えているわけではないことも多いと思います
しかも相続放棄を選択した相続人は、意外に放棄した時点でホッとしてしまっているのではないでしょうか
相続放棄したとしても相続時精算課税適用財産は相続財産に加算が必要ですし、相続放棄したとしても相続税の申告が必要になりますから注意が必要です。
税理士としては、相続人代表者と連絡を取り合い相続税の申告書を作成していきますが、相続放棄を選択した相続人に対しても相続時精算課税制度の選択の有無は必ず確認が必要ということになります。
あるいは相続人全員と連絡が取れない状況にあれば、開示請求は必ず行う方が良いのだと思います。
なお、3年以内贈与加算は、
「相続等により財産を取得した者が当該相続の開始前3年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては~」
とありますから、
相続放棄している場合にはみなし相続財産を取得している場合を除き、3年以内贈与による相続税の申告は必要ないと思います。
さらにさらに、その被相続人を特定贈与者とする相続時精算課税適用者は、
同人からの3年以内贈与加算もある場合には、
3年以内贈与加算の適用となります。ここまでくると混乱してきます。
また、孫への生前贈与において孫が相続時精算課税を選択していたとしたら、
孫は相続税の2割加算(※)の対象となりますので、こちらも注意が必要です。
※2割加算となるのは、被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の方が遺産を取得した場合です。
相続放棄と相続時精算課税と3年以内贈与加算とさらに2割加算の論点は複雑に絡んでいるので、一度まとめる必要がありそうです。