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若手税理士のいろはにほへと

若手税理士のいろはにほへと

   

日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。

若手税理士のいろはにほへと

公表裁決

公表裁決 令和3年9月17日裁決 贈与の成立の有無

2022年04月24日|近藤会計

公表裁決事例集No124

相続税法関係の上4つはすべて同じ裁決について

主に
1.金庫内の現金は相続財産か

2.相続人名義の口座は相続財産か

3.贈与時に相続人が未成年で、法定代理人(親権者)が管理していた相続人名義口座は相続財産か

4.被相続人名義口座を相続開始前に解約し相続人(配偶者)口座へ移した後、被相続人の通帳は廃棄したことは、隠蔽仮装にあたるか

よくあるケースにも思います

1.金庫は会社にあったことから、会社の現金か被相続人の現金か、あるいは別か検討されています
結論は被相続人の現金ですが、、、

3.法定代理人が管理していた相続人名義口座は贈与が成立しているので相続財産から外されています

4.隠蔽仮装は、このパターンが多いように思います、隠したい心理が働くのでしょうね

一連の同一内容の裁決を4つも公表したのはどういった意図だったのでしょうか??

公表裁決 令和3年7月12日裁決 相続税

2022年04月16日|近藤会計

名義財産、夫婦間みなし贈与に関しての裁決です、

国税速報でも紹介されています。

結果として、夫婦間贈与の決定処分は取り消され、相続税の修正申告で対応した名義財産としての処理で決着したようですが、

こういった一連の処理であっても名義財産として申告すれば良い、と前向きにとらえるのは危険でしょうか??

ポイントを列挙しておきたいと思います

・妻は、夫の名義財産であったと主張する株式の配当の源泉還付の確定申告をしている(後日妻は還付申告に関して修正申告している⇒つまり還付取り下げということですよね)

・妻の証券口座や預金通帳には夫から入金されていた

・妻名義口座からは、多少ではあるが家計費のためと思われる出金があるが、妻の私的な費消ではないと審判所が判断している

諸々を踏まえて、

審判所は妻が私的に費消された事実が存在しないから、妻が夫の財産を管理・運用していたと解した、ということで、みなし贈与には該当しない

税務署が主張する、妻が直接証券会社に取引の指示していたではないか、という点は、原資は夫だが管理は妻という整理だから問題ない(利益を享受しているとは言えない)

相続税の修正申告や所得税の修正申告をしている点も良かったのでしょうか

というよりも、当初申告から相続財産として計上していればなんら問題なかったのでしょうね

国税不服審判所の公表裁決を確認 令和3年6月24日 過少申告加算税

2021年12月19日|近藤会計

小田原の税理士の近藤慎之助です。

令和3年6月24日裁決より

基礎事実を読んだところで、

相続人達の口座へ平成17年から29年までの間に6200万円が入金されていると、厳しい調査が予想されますよね

また、生前の親族への不動産の売買について、被相続人の承諾なく行った無効売買で錯誤を理由に抹消されたり、
相続人間で生前の出金などについて訴訟を提起する予定であることから、税務上の整理も非常に困難であることが予想されます

請求人は、相続税の申告に当たり、報告書を添付しており、他の相続人やその家族がいかに被相続人の預貯金を自由に管理していた旨を記載して提出しているようです。
こういったことは、あり得ることと思いますが、税務署が実際にこれらの報告書を受けて動くのは稀に思います。税務署も金額次第ですからね

不思議なのは、請求人が当初申告書に報告書なるものを添付しておかしなかつ不明な出金があることを税務署に報告しているのに、
その請求人が税務署と、他の親族に対しての預け金か贈与か争っているという状況です

あっ、請求人は税理士なのですね、なるほど

審判所の判断は、被相続人の口座から出金し相続人へ入金された金額は預け金(債権)として判断しています。

過少申告加算税の「真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情」については

1.不動産の売買が後日錯誤により抹消されていた事実は知り得ないでしょう⇒これは正当な理由として認められました。

2.現金について、「請求人は、本件現金を含む出金された現金の使途について、相続人Hに口頭で数回尋ね、それに対し、相続人Hから本件被相続人のために使った旨の抽象的な返事をされただけで、それ以上、具体的にその使途を追及したり、調査することもなく」⇒これだけでは、責めに帰することのできない正当な理由があった、とは言えないわけです。

3.親族口座への入金額について、現金と同じく、「請求人は、本件現金を含む出金された現金の使途について、相続人Hに口頭で数回尋ね、それに対し、相続人Hから本件被相続人のために使った旨の抽象的な返事をされただけで、それ以上、具体的にその使途を追及したり、調査することもなく」⇒これだけでは不十分と言われています。

正当な理由に該当するのはなかなか簡単ではない、ことを肝に銘じておきたいと思います。

国税不服審判所の公表裁決を確認 令和元年7月2日裁決 法人税

2020年11月09日|近藤会計

大雄山最乗寺、苔むしています


税理士の近藤慎之助です

国税不服審判所の公表裁決 令和元年7月2日裁決です

法人税の重加算税取消事案です

図面の電子データ化ソフトの工事完了日について、業者と通謀して虚偽の証憑書類を作成したとして、重加算税を賦課決定しています

工事代金は405万円、手書きの図面を電子データ化して上書きも可能?で、今までエクセルやCADデータで統一されていなかったものを統一する目的で導入ということで、とても便利そうに聞こえます

結論としては、会社の管理体制などから見て、今般の工事は役務の提供が実質的に完了しているとの認識の下にあり、取引先と通謀して意図的に虚偽の検収日を記載したとは認められないとして、重加算税を取り消しています

国税不服審判所の公表裁決を確認 令和元年11月12日裁決 相続税

2020年11月07日|近藤会計

税理士の近藤慎之助です

令和元年11月12日の裁決事例です

相続税の広大地評価と土壌汚染浄化費用の控除額について

1.広大地は分譲マンション適地ということで、否認されています
直近で建築された4件の建物のうち3件がマンション1件がコンビニということ、つまり、マンション敷地に移行しつつある地域ということなのでしょうね。実際に相続後、売却先の業者は対象地上に7階建てのマンションを建築しています。

2.土壌汚染浄化費用として控除すべき金額は見積書の金額(5130万円)か実際の負担額(2560万円)を基準にすべきか
この結論は面白かったですが、よく考えれば妥当な結論として見積書の金額×80%で決着しています。
理由として➀見積もりした業者はちゃんとした業者だった➁見積書と実際の負担額の差はちゃんとした理由があり(仮設工事、山留工事、掘削工事などは建物建築時に別の業者にお願いした)、5130万円は土壌汚染対策工事費用の総額としては妥当な金額であった。

実負担額には何が作業項目として入っているのか注意すること、を教訓にしたいと思います。

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