日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。
2020年10月26日|近藤会計
大井町四季の里より
税理士の近藤慎之助です
令和2年3月17日裁決 相続税
土地の評価についてですが、
当初申告を刷新するつもりなのか、論点多すぎるように感じます
土地7か所につき見直していて、なんだかなという感じは受けてしまいます
そして、預貯金に関しては隠ぺいがあり重加算税の賦課が確定しています
という前提で、大きく区分して
1.広大地に該当するか
2.借地権の有無
3.雑種地等の比準地目の判定
という感じでしょうか
広大地だけの裁決なら今更かなと思いましたが、他の論点は面白かったです
ちなみに広大地には該当しないという結論です
借地権の有無については、土地上で営む事業などの主たる目的により判断すべきという、最近の月刊税理笹岡先生の記事の勉強が生きてきます
この事案では、主たる目的はリース商品である建設機械及び車両等の保管場所を確保することである、としています
よって、建物の所有を目的とする土地の賃借権に該当しないとして、借地権は無しと判断しています
雑種地等の比準地目の判定は、宅地比準と判断していますが、転用許可済農地とは宅地転用許可済農地ということなんでしょうね
ちなみに、審判所から株価の過大評価を指摘されており、株価が下がっています、きっと税理士案件だとは思うのですが、、、
その他、隠ぺい仮装事案の配偶者の税額軽減額について、税務署の計算の誤りについても指摘していますが、これについては、もう少し掘り下げたいと思います
2020年10月18日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
令和2年1月20日裁決
カフェテリアプランによるポイント付与は源泉徴収の対象となるかどうか
メニューの中にポイント分の財形貯蓄ができる(補助金として受けられる)プランがあることをもって、その全額を給与課税すべきと課税庁は判断したようですが、
請求人の主張する、課税庁の論理に矛盾がある、というとおりだと思います
納税者勝ち、なのですが、そもそもカフェテリアプランて税務署の質疑応答とかだと大体が課税対象というイメージです
この裁決も、付与ポイントを無条件で給与等課税、というのは違うということで、サービス内容に応じて課税するしないを判断することになりましたが、
納税者のメニュー内容の非課税対象は、「人間ドック補助金」「会社等主催の行事補助」「会社のクラブ活動補助」ということで、それは当然非課税でしょという内容
下記の、回答要旨に従えば、たいていのカフェテリアプランは給与等課税対象となり得るのでしょうね、、、うーん厳しい
カフェテリアプランによる旅行費用等の補助を受けた場合
【照会要旨】
A社のカフェテリアプランには、次のようなメニューがありますが、これらのメニューを利用することにより従業員等が受ける経済的利益の課税関係はどのようになりますか。
(1) リフレッシュメニュー
旅行費用、レジャー用品等の購入代、映画・観劇チケットやスポーツ観戦チケットの購入代を一定限度額(10,000円)まで補助するものです。
なお、契約している福利厚生施設等を利用する場合には、全従業員等一律の割引料金(契約料金)から更にポイントを利用することができます。
(2) 自社製品購入
従業員等に対しては、通常販売価額の70%相当額で自社製品を販売していますが、この金額から更にポイントを利用して自社製品を購入することができます。
【回答要旨】
いずれのメニューも、利用したポイントに相当する金額について、そのポイントを利用した時の給与等として課税対象となります。
(1) リフレッシュメニュー
照会のリフレッシュメニューは、使用者が企画・立案したレクリエーション行事のように従業員等に対して一律にサービスが供与されるものではなく、ポイントを利用する従業員等に限り供与されるものであることから、個人の趣味・娯楽による旅行等の個人が負担すべき費用を補てんするものと認められ、給与等として課税対象となります。
なお、契約施設を利用した場合の一般料金と割引料金の差額については、全従業員等が一律に供与を受けるものである限り、課税しなくて差し支えありません(所得税基本通達36-29)。
(2) 自社製品購入
個人が負担すべき購入代価をA社が負担するものと認められますので、給与等として課税対象となります。
なお、このメニューを利用した場合には、値引率が30%を超えることとなりますので、原則として値引額全体が課税対象となりますが(所得税基本通達36-23)、自社製品を一定の条件で値引販売することが確立している場合には、個人が負担すべき購入代価をA社が負担した部分、すなわちポイント利用相当額のみを課税対象として差し支えありません。
2020年10月16日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
令和2年3月10日裁決
法人が決算期末日に計上した未払の修繕費について、相手方との通謀により虚偽の証ひょう書類を作成したため、仮装行為にあたるとして重加算税が賦課されたが取り消された事案
修繕費の金額313万円とどこにどもありそうな事案ですし、修繕工事の完了していない工事を経費計上してしまったあたりもまた、よくある事案に感じます
請求書に納品日が3月30日と記載されていることが虚偽(実際には7月末頃工事完了)、ということですが、確かにシステム上、日付が自動入力されてしまうものもありますから、あながち嘘とも言えないし、、、疑わしきは罰せず、という言葉を使っていいのかわかりませんが、
請求人から4月頃に請求書の発行依頼をしているのだから、特に気にして請求書を発行したのは事実ですから、工事の進捗状況を確認しなかったのはどうかと思います、、、
こういった事案でも、重加算税について税務署と争いになることもある、という学びにしたいと思います
(税理士 近藤慎之助)
2020年10月13日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
令和2年2月13日裁決
税理士から税務代理を断られて以降、会計帳簿を作成しておらず、かつ確定申告書を提出していない状況で
その後3名、4名の税理士に依頼しても誰も引き受けてくれなかったという、、、何が原因だったのか、ある程度は想像できますが
調査担当職員から請求書などの提示を求められたが、請求書などの書類は全て捨てて、帳簿は作成していないと、回答していると、
しかし、翌日、翌々日に、手元にある資料を調査担当職員に提示している
何人もの税理士に依頼していたくらいだから、申告の意思はあったのだろうと推測されること、
請求書などの書類の提出も、おそらく無いなりに調査担当職員の指示に従い提示していたこと、
等を総合勘案すると、税を逃れようとする確定的な意思に基づいて無申告を貫こうとしていた、とまでは言えないため、
隠ぺい又は仮装した事実は認められないとしています
つまり、すごくルーズだった、ということなんでしょうね
(かなりかみ砕いています、あしからずm(__)m)
2020年10月09日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
令和2年分1月~3月分(裁決事例集No.118)から、食わず嫌いはいけないので、全件確認してみようと思いたち、
とりあえず1回目ですが、どこまで続くのやら、、、
全件といっても難しすぎるのはパスさせてもらうかもしれませんが、気持ちは全件ということで(笑)
令和2年2月19日裁決より
最近の傾向から、重加算税が取り消されたのかと思いきや、重加算税案件でした
幼稚園等のスポーツインストラクターを個人事業主として営む請求人ということで、なんだか身近に感じています
売上月100万は超えていて年1000万は超えているハズなのに、売上金を過少に申告し、かつ、過少な売上金に合わせる形で、税務署調査用の帳簿を作成、提示していることから、真実の所得金額を隠蔽し、虚偽の帳簿書類を複数回作成するといった隠ぺい行為が、重加算税の賦課要件を満たすと判断されています
消費税に関しても、上記売り上げの過少申告は、消費税の納税義務を意識したもので、消費税の納税を避けるための一連の行為と推測されることから、重加算税の賦課要件を満たす
一点、気になったのは、
審判所の判断の法令解釈
「~上記の重加算税制度の趣旨に鑑みれば、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在したことまで必要であると解するのは相当でなく、納税者が、当初から所得を過少に申告すること、又は法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき、過少申告をし、又は法定申告期限までに申告をしなかったような場合には、重加算税の賦課要件が満たされるものと解するのが相当である。」
これは必要なんでしょうか?
通則法68条2項
(重加算税)
第六十八条 第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。
2 第六十六条第一項(無申告加算税)の規定に該当する場合(同項ただし書若しくは同条第七項の規定の適用がある場合又は納税申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき法定申告期限までに納税申告書を提出せず、又は法定申告期限後に納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の四十の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。