日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。
2020年11月09日|近藤会計
大雄山最乗寺、苔むしています
税理士の近藤慎之助です
国税不服審判所の公表裁決 令和元年7月2日裁決です
法人税の重加算税取消事案です
図面の電子データ化ソフトの工事完了日について、業者と通謀して虚偽の証憑書類を作成したとして、重加算税を賦課決定しています
工事代金は405万円、手書きの図面を電子データ化して上書きも可能?で、今までエクセルやCADデータで統一されていなかったものを統一する目的で導入ということで、とても便利そうに聞こえます
結論としては、会社の管理体制などから見て、今般の工事は役務の提供が実質的に完了しているとの認識の下にあり、取引先と通謀して意図的に虚偽の検収日を記載したとは認められないとして、重加算税を取り消しています
2020年11月08日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
税理士賠償保険事例の中で相続税の取得費加算を適用するのに所得税の申告期限後5年以内に更正の請求をすればよいと思い込み、相続税額確定後2か月以内に行わなかったことから適用不可となった事例を受けての内容です
平成26年度税制改正で相続税の取得費加算の特例が改正されました
租税特別措置法施行令25条の16第2項第1号では相続税の取得費加算特例の対象となる相続税額は、その譲渡の日の属する年分の所得税の納税義務の成立する時(通常12月31日)において確定している相続税額としています
となると、相続税の申告と所得税の申告が前後してしまうとタイミング次第で相続税の取得費加算に適用可否が出てしまい課税が不公平になってしまいます
平成26年の改正で相続税の申告が後になる場合の相続税の取得費加算に関する譲渡所得税の更正の請求の期限が明文化されたのですが、「相続税の期限内申告書の提出をした日の翌日から二月を経過する日」ですから、5年以内ではないので十分注意が必要です
たしか改正前は「更正の嘆願」と呼ばれる、お願いベースの手続であいまいに運用されており、2ヵ月云々ではなかったように思いますので、このあたりの情報の更新がされていないと誤りにつながりますね、気を付けないと、、、
所得税特有の更正の請求等の期限をまとめた本があると嬉しいのだけれど、、
租税特別措置法 一部抜粋
(相続財産に係る譲渡所得の課税の特例)
第三十九条 相続又は遺贈による財産の取得をした個人で当該相続又は遺贈につき同法の規定による相続税額があるものが、当該相続の開始があつた日の翌日から当該相続に係る同法第二十七条第一項又は第二十九条第一項の規定による申告書(これらの申告書の提出後において同法第四条第一項に規定する事由が生じたことにより取得した資産については、当該取得に係る同法第三十一条第二項の規定による申告書。第四項第一号において「相続税申告書」という。)の提出期限(同号において「相続税申告期限」という。)の翌日以後三年を経過する日までの間に当該相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された資産の譲渡をした場合における譲渡所得に係る所得税法第三十三条第三項の規定の適用については、同項に規定する取得費は、当該取得費に相当する金額に当該相続税額のうち当該譲渡をした資産に対応する部分として政令で定めるところにより計算した金額を加算した金額とする。
2 前項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする年分の確定申告書又は修正申告書(所得税法第百五十一条の四第一項の規定により提出するものに限る。次項において同じ。)に、前項の規定の適用を受けようとする旨の記載があり、かつ、同項の規定による譲渡所得の金額の計算に関する明細書その他財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。
3 税務署長は、確定申告書若しくは修正申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載若しくは添付がない確定申告書若しくは修正申告書の提出があつた場合においても、その提出又は記載若しくは添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類及び同項の財務省令で定める書類の提出があつた場合に限り、第一項の規定を適用することができる。
4 次の各号に掲げる者が第一項に規定する課税価格の計算の基礎に算入された資産の譲渡について同項の規定を適用することにより、当該譲渡をした者の当該譲渡の日の属する年分の所得税につき所得税法第百五十三条の二第一項各号に掲げる場合に該当することとなる場合には、その者は、それぞれ次の各号に定める日まで、税務署長に対し、更正の請求をすることができる。
一 当該資産の譲渡をした日の属する年分の確定申告期限の翌日から相続税申告期限までの間に相続税申告書の提出(第六十九条の三第五項第一号の規定により第二条第三項第一号に規定する期限内申告書とみなされるものの提出を含む。以下この号において「相続税の期限内申告書の提出」という。)をした者(当該確定申告期限までに既に相続税申告書の提出をした者及び当該相続税の期限内申告書の提出後に確定申告書の提出をした者を除く。)
・・・当該相続税の期限内申告書の提出をした日の翌日から二月を経過する日
二 当該資産の譲渡をした日以後に当該相続又は遺贈に係る被相続人(包括遺贈者を含む。)の当該相続の開始の日の属する年分の所得税につき所得税法第六十条の三第六項前段の規定の適用があつたことにより、同法第百五十一条の三第一項の規定による修正申告書の提出又は同法第百五十三条の三第一項の規定による更正の請求に基づく国税通則法第二十四条又は第二十六条の規定による更正(当該請求に対する処分に係る不服申立て又は訴えについての決定若しくは裁決又は判決を含む。以下この項及び第九項において「更正」という。)があつた者
・・・当該修正申告書の提出又は更正があつた日の翌日から四月を経過する日
三 当該資産の譲渡をした日以後に当該相続又は遺贈に係る被相続人(包括遺贈者を含む。)の当該相続の開始の日の属する年分の所得税につき所得税法第百五十一条の六第一項に規定する遺産分割等の事由が生じたことにより、同項の規定による修正申告書の提出又は同法第百五十三条の五の規定による更正の請求に基づく更正があつた者
・・・当該修正申告書の提出又は更正があつた日の翌日から四月を経過する日
5 第二項及び第三項の規定は、前項の規定により更正の請求をする場合について準用する。この場合において、第二項中「確定申告書又は修正申告書(所得税法第百五十一条の四第一項の規定により提出するものに限る。次項において同じ。)に、前項」とあるのは「更正請求書に、同項」と、第三項中「、確定申告書若しくは修正申告書」とあるのは「、次項各号に掲げる者の区分に応じ当該各号に定める日までに更正請求書」と、「添付がない確定申告書若しくは修正申告書」とあるのは「添付がない更正請求書」と、「その提出」とあるのは「同日までにその提出」と読み替えるものとする。
2020年11月07日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
令和元年11月12日の裁決事例です
相続税の広大地評価と土壌汚染浄化費用の控除額について
1.広大地は分譲マンション適地ということで、否認されています
直近で建築された4件の建物のうち3件がマンション1件がコンビニということ、つまり、マンション敷地に移行しつつある地域ということなのでしょうね。実際に相続後、売却先の業者は対象地上に7階建てのマンションを建築しています。
2.土壌汚染浄化費用として控除すべき金額は見積書の金額(5130万円)か実際の負担額(2560万円)を基準にすべきか
この結論は面白かったですが、よく考えれば妥当な結論として見積書の金額×80%で決着しています。
理由として➀見積もりした業者はちゃんとした業者だった➁見積書と実際の負担額の差はちゃんとした理由があり(仮設工事、山留工事、掘削工事などは建物建築時に別の業者にお願いした)、5130万円は土壌汚染対策工事費用の総額としては妥当な金額であった。
実負担額には何が作業項目として入っているのか注意すること、を教訓にしたいと思います。
2020年11月05日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
アメリカ大統領の行方が気になりますが
引き続き税理士賠償責任保険の事故事例の確認です、すべて事前相談事案となります
1.マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算
⇒十分注意しなければいけない特例だと思っています。事例はタイムスケジュールが分かりませんが、旧自宅取壊し事案なのでしょうか(ロ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。)この要件を満たさなかったように思うのですが、どうでしょうか
2.相続税の小規模宅地等の特例
⇒申告期限前に売却して大丈夫な場合とダメな場合と、分かっているつもりでも間違えてしまうことがあるのでしょうね
3.出国時の特定口座の源泉徴収選択の有無
⇒珍しく思いますが、翌年に出国することを前提に特定口座の源泉徴収選択の有無をどうするかという相談です。非居住者となる年に特定口座内で源泉徴収なしとしておけば、翌年1月1日時点で国内に住所がないため、住民税の納税義務が生じないことから、特定口座内の所得についても住民税は課税されない。スポットでの相談だとしたらなかなか難しい相談だなと思います。出国とか非居住者という論点は気を付けないといけないですね、、、
2020年11月04日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
引き続き2019年度の税理士賠償責任保険の事故事例についての確認です
今度は保険金が支払われた事例です
消費税の簡易課税制度選択届出書、不適用届出書については毎年のこととして、
1.譲渡所得の相続税の取得費加算について、所得税の更正の請求は5年以内と考えて、提出を後回しにしていたところ、本件の所得税の更正の請求は相続税の申告書を提出した日の翌日から2月を経過する日までであったため損害が発生したと⇒後であらためて確認したいと思います
2.配当所得に係る住民税申告不要手続の手続失念により過大納付住民税が発生した事例⇒とうとう出ましたね、損失額は200万円ということで、健康保険料なども入るのでしょうか?毎年しっかりと検討が必要な論点です
3.空家の3000万円特別控除のアドバイスミス⇒売却対価1億円以下が要件の同特例で、事例の売却対価が9990万円、固定資産税の清算金が15万円という、、、なんとも悲しい事例です、損害額が1200万円ということで相続人2名分なんでしょうね