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若手税理士のいろはにほへと

若手税理士のいろはにほへと

   

日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。

若手税理士のいろはにほへと

ブログ

税理士賠償責任保険の事故事例 2019年度

2020年11月03日|近藤会計

税理士の近藤慎之助です

2019年度の税理士賠償保険の事故事例について

支払保険額が年々増えているのはなんとも恐ろしいですね

まずは保険金が支払われなかった事例の確認から

住宅取得資金の適用要件の誤りについて、建物の床面積要件240㎡をオーバーしていたようです、

この制度は床面積50㎡を下限にしている点にも注意しないといけないですね、東京の分譲マンションでは結構あるものと思います

なぜ保険金が支払われなかったのか、

1.贈与の相談を受けた際には建物はほぼ完成しており、床面積要件を満たしていないことに気が付いたとしても床面積の変更は不可能な段階であった

2.納付した贈与税(400万円)は本来納めるべき税金であり、かつ相続等への影響も不確定要素が多く、税理士の善管注意義務違反と因果関係のある損害が発生したとは認められない

という理由のようですが、、、正直読んでもよくわかりません

詳細は掲載されていないのでわかりませんが、贈与実行のスケジュールなどから見て、本来税理士が負うべき損害賠償ではなかったということなんでしょうかね

ただ、贈与税の申告は税理士がお引き受けになっているようですから、やはり引き受けの時点で不適用に気が付くべきでした

国税不服審判所の公表裁決を確認 令和元年11月28日裁決 所得税

2020年11月02日|近藤会計

税理士の近藤慎之助です

令和元年11月28日裁決

主に、上場株式の取得費の判断についてですが、目新しい論点ではありません

実際には争点は2点あり
1.上場株式の譲渡損失を当初申告に記載しなかった場合に、修正申告なりで考慮できるかどうか

2.上場株式の取得費について概算取得費か名義書換日か

1.については当然に不可です、当初申告において確定申告をしないことを選択したものと認められるということ

審判所は、ここで、租税法律主義の下において、請求人の当該主張は独自の解釈を前提とするものと言え採用することができない、としています
租税法律主義とはこのように使うのですね、、、

2.の争点について、名義書換日を調べて取得時期とし、その時期の終値相場で取得価額を算定する方法で良いと、以前からされていますが、実際には最初の名義書換日が分からないことが大半ではないでしょうか?私はその方が多いので、結局のところ悩みますが。。。

2.の争点は税務雑誌に取り上げられることが多いですが、むしろ、当たり前だけれども、争点1.についてはくれぐれも譲渡損失をスルーしないように改めて注意が必要です

国税不服審判所の公表裁決を全件確認 令和元年12月18日裁決 相続税

2020年10月30日|近藤会計

税理士の近藤慎之助です

令和元年12月18日裁決

相続税にかかる重加算税の取消事案です

税務署からの「相続についてのお尋ね」に対して、財産の一部のみを記載して提出したことは隠ぺい仮装行為といえるとして税務署より重加算税賦課決定されています

税務署の調査にはしっかりと応じており、すべての財産が記載された財産一覧表を調査の際には調査官に提示しているなどの前提があり

そもそも、お尋ね文書は、あくまで税務署が納税者に対して任意に提出を求める性質のものであり、相続財産も概括的な金額記載を要求しているにすぎないから、仮に納税者が提出したお尋ね文書に記載した相続財産と実際の相続財産に乖離があったとしても、それをもって、直ちに納税者がお尋ね文書に意図的に虚偽の記載をして提出したとは認められないという判断をしています

また、この判断とは別に、意図的に相続税の申告書を提出しなかったと外部からもうかがえるかどうか判断していますが、こちらも、特段の行動があったとされる事情は見当たらない、としています

自身で相続税の申告をしようと頑張っても、結果として申告期限に間に合わず期限後申告になってしまった、という案件は稀にありますからね、重加算税は確かに厳しいような。。

国税不服審判所の公表裁決を全件確認 令和元年11月20日裁決 法人税

2020年10月29日|近藤会計

税理士の近藤慎之助です

令和元年11月20日の裁決です

法人税にかかる重加算税の取消事案です

法人を解散後の清算中に法人所有の山林(取得費1800万)を1億で譲渡したが無申告であることが、隠ぺい仮装に該当するかどうか

論点とは関係ありませんが、請求人は税務職員に「勝手にしろ、申告もしない」、「勝手にしろ、そのうち時効が来る」などと発言しているようです、、、うーん

という発言がありながらも、審判所は隠ぺい仮装の事実があったとは認められないとしています

これは、
1.調査時に、売買契約書や決済代金入金の通帳を提示し、請求人が説明していること
2.調査当初より、山林事業に関しては経費がかかっていることを主張しており、請求人は譲渡による所得が生じていないと認識していた可能性も否定できない

という点から明確な無申告の意図に基づく行為であったと評価することはできない、としています
表現を変えると、当初から法定申告期限までに申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとはいい難い

疑問なのは、請求人は税務署に出向き、山林を譲渡した場合に法人税が発生しない特例がないか相談しているのですが、この辺りは、所得が生じていないと認識していた、といえるのかどうか、、、

それにしても審判所というのはクールだなぁ

国税不服審判所公表裁決全件確認 令和元年10月4日裁決 法人税

2020年10月28日|近藤会計

税理士の近藤慎之助です

令和元年10月4日裁決より
法人税の重加算税取消事案です

法人の従業員が当該従業員の妻を下請業者とする外注取引により外注費を法人より受け取っていたが、これら一連の取引が架空外注費として法人の隠ぺい仮装に該当するかどうか

1.従業員の地位権限について
一使用人としての限定されてものであった

2.従業員の行為態様について
当該架空外注費として受け取った金員は従業員のゴルフ代飲食代に私的に費消されているなどの状況から、法人の業務の一環ではない

3.従業員に対する管理監督について
従業員などの詐取行為を防止するための管理監督が十分であったとはいえない

上記より
審判所の判断として、従業員の行為は仮装に該当するが、従業員の行為を法人の行為と同視することはできないとし、重加算税の賦課要件を満たしていないことから、重加算税の賦課決定処分の全部を取り消している


令和元年10月4日公表裁決より一部抜粋

しかし、納税者以外の者が隠蔽又は仮装する行為を行った場合であっても、それが納税者本人の行為と同視することができるときには、形式的にそれが納税者自身の行為でないというだけで重加算税の賦課が許されないとすると、重加算税制度の趣旨及び目的を没却することになる。
したがって、納税者が法人である場合、法人の従業員など納税者以外の者が隠蔽又は仮装する行為を行った場合であっても、それが納税者本人の行為と同視することができる場合には、納税者本人に対して重加算税を賦課することができると解するのが相当である。
そして、従業員の行為を納税者本人の行為と同視できるか否かについては、1その従業員の地位・権限、2その従業員の行為態様、3その従業員に対する管理・監督の程度等を総合考慮して判断するのが相当である。

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