日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。
2020年07月19日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
月報司法書士より
遠藤英嗣先生の記事「家族民事信託の現状と展望」より
平成30年の家族信託の遺留分に関する判決以降、勢いが無くなったと、
遺留分制度を潜脱する信託契約は公序良俗に反し無効という
遺留分の判決に関しては多くの専門家がそうだよねと、想定していたのではないかと思いますが
そんなに影響があったのでしょうか、、、
家族信託はそもそも相続などを考える際の選択肢の一つであって、
民事信託の宣伝で当初使われていたような、夢の制度、ではないことが浸透してきたのではないかと思っています
判例などの読み込みを続けて、選択肢の一つとして他の制度には変えられないようであれば、ご提案しようと思っています
民法改正により、特定の相続人に相続させる遺言があっても他の相続人がいわゆる共同相続登記を行い、自己の持分を換価などした場合
処分先が善意の第三者である場合は、承継する相続人はその第三者に対抗できなくなってしまう、その解決として民事信託とのことですが
相続時精算課税による生前贈与契約や、死因贈与契約の方が安心して利用できると思っているのは私だけでしょうか、、、
2020年07月15日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
相続税の財産評価について、
ゴルフ場などの雑種地評価において、財産評価基本通達86の注書きはどこまで適用されるのか気になっていたのですが、
しっかりとした地裁の判断が記載されています、
市街化調整区域の雑種地斟酌割合を含めて、必読の判例だと思います。
つまり、造成が行われていないものとしても、比準地目の判定はあくまで周辺地を参考にしてください、ということだと思います。
ゴルフ場、ゴルフ練習場の敷地で賃貸の用に供している土地について何でもかんでも登記地目等をもって評価するのは危険な処理となります
(貸し付けられている雑種地の評価)
86 賃借権、地上権等の目的となっている雑種地の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。
~
(注) 上記(1)又は(2)において、賃借人又は地上権者がその雑種地の造成を行っている場合には、その造成が行われていないものとして82≪雑種地の評価≫の定めにより評価した価額から、その価額を基として87≪賃借権の評価≫の定めに準じて評価したその賃借権の価額又は相続税法第23条≪地上権及び永小作権の評価≫若しくは地価税法第24条≪地上権及び永小作権の評価≫の規定により評価した地上権の価額を控除した金額によって評価する。
税務訴訟資料 第260号-202
横浜地方裁判所 平成22年11月17日棄却・控訴
評価通達86の注書きによれば、
賃借人がその雑種地の造成を行っている場合における賃借権の目的となっている雑種地の評価は、その造成が行われていないものとして評価通達82の定めにより評価した価額を基礎として行うとされていることから、「造成前」の地目、すなわち畑により評価すべきであると主張する。
雑種地の評価の判断において、造成が行われないものとして評価した価額を基礎とするのは、造成後の価額を基として貸し付けられている雑種地の価額を評価した場合、造成費相当額分高くなっている雑種地の価額から賃借権の価額を控除することとなり、不合理な結果となることを避けるため、雑種地の自用地価額を、造成工事が行われていないものとして近傍の土地の価額から比準して求め、その価額を基として賃借権の価額を計算し、先に求めた自用地価額から賃借権価額を控除して評価するのが相当であると考えられたことによると解されるから、賃貸人が造成したことにより、比準地とすべき土地の地目が変わるものではない。
すなわち、このような土地の評価については、造成前の地目に基づいて評価するのではなく、造成が行われていないものとした場合の雑種地としての価額を、状況が類似する付近の土地の価額を基礎として評価すべきものしたと解される。
2020年07月14日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
相続時精算課税の相談は良く受けるけれども、死因贈与の相談はまずありませんが、
状況から見て死因贈与の方が良い場合もあります
相続税関係を中心に相続時精算課税と死因贈与の違いを確認したいと思います
相続時精算課税
・相続税の課税対象
・生前贈与時点で価格が固定される
・小規模宅地等の特例は対象外となってしまう
・登録免許税、不動産取得税は生前贈与と同じ
死因贈与
・相続税の課税対象
・相続開始時の評価、つまり通常の相続税評価
・(要件を満たせば)小規模宅地等の特例適用有り
・登録免許税、不動産取得税は生前贈与と同じ
※死因贈与の名義変更登記に関して、死因贈与契約書が公正証書か、また執行者指定の有無により手続が異なり、基本的には公正証書で執行者指定有が好ましいようです
こう見ますと、死因贈与の利点として小規模宅地等の特例が適用される点が一番大きいでしょうか、手続きが煩雑なのは否めません
相続時精算課税は生前贈与時点で価格が固定されるので、土地の評価通達の改正などがある場合に価格を固定するのに利用されたりしますが、頻度はそう多くないかと
収益物件や、今後活用を考えている土地建物については、早めの所有権確保のため相続時精算課税による生前贈与も魅力的です
相続税の課税対象となる可能性がある方は、相続時精算課税制度より死因贈与を選択した方が、小規模宅地等の特例の適用可能性を見ても良い場合が多いかもしれません
租税特別措置法
(在外財産等についての相続税の課税価格の計算の特例)
第六十九条の二 相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下第七十条の八の二までにおいて同じ。)
(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)
第六十九条の四 個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、~
2020年07月13日|近藤会計
6月、7月に立て続けに公表されましたので、ご参考までに
コロナによる株価の下落はどの程度反映されるのかと思いましたがしっかりと反映されていました
類似業種比準価額 令和2年4月まで
特定生産緑地の取り扱いなどについて、
生産緑地の評価について所要の改正
成年が20歳から18歳へ
未成年者控除、配偶者居住権と小規模宅地等特例の改正通達
まさか総合課税とは、、、
配偶者居住権が総合課税の譲渡所得である通達 P9からP31
(分離課税とされる譲渡所得の基因となる資産の範囲)
31・32共-1 措置法第31条第1項又は第32条第1項(同条第2項において準用する場合を含む。)の規定により分離課税とされる譲渡所得の基因となる資産は、次に掲げる資産に限られるから、鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し又は採取する権利を含む。)、温泉を利用する権利、借家権、土石(砂)などはこれに含まれないことに留意する。
(1) 土地若しくは土地の上に存する権利又は建物及びその付属設備若しくは構築物(以下「土地建物等」という。)
(2) 事業又はその用に供する資産の譲渡に類するものとして措置法令第21条第4項第2号に掲げる株式等(措置法第32条第2項に規定する株式等をいう。)のうち措置法令第21条第3項各号に掲げるもの
2020年07月12日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
相続税の小規模宅地等の特例のうちいわゆる家なき子の要件をあらためて確認していたのですが、
気になった点をいくつか
次の(1)から(6)の要件を全て満たすこと
(1) 居住制限納税義務者又は非居住制限納税義務者のうち日本国籍を有しない者ではないこと
(2) 被相続人に配偶者がいないこと
(3) 相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)がいないこと
⇒「相続人」なので、相続人以外が居住していたとしても特例適用の可能性がある
(4) 相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族又は取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと
⇒「居住した」なので、所有していただけであれば特例適用の可能性がある
⇒(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)・・・相続開始前3年以内に、同居していた親族が転勤などにより社宅住まいになった場合等を想定した括弧書き
(5) 相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと
⇒「居住している」なので、相続開始時に一般的な借家等に居住しているときは特例適用の可能性がある
(6) その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること