日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。
2020年06月13日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
令和2年度税制改正のなかで、今後の確定申告や年末調整に間違いなく
重い負担となりそうなひとり親控除の新設、なかなか内容を整理しきれなかったのですが、あらためて確認します
最初に実務で適用することになるのは準確定申告ですから、そろそろ頭に組み込む必要があります、、、
まず「ひとり親」の定義から
基本的には改正前の寡夫または特別の寡婦に該当していた方は当てはまる可能性が高いと思いますが、
(3)の(事実上婚姻関係~者がいないこと)の要件については、、、
このような状況を住民票上確認したことがないのでイメージがつかみにくいです
また、改正後の寡婦控除には扶養親族がある場合でも500万円の所得制限が入る点には注意です。
逆に寡夫控除は控除額が27万円から35万円に上がっています。
ひとり親控除及び寡婦控除に関するFAQ(源泉所得税関係) より抜粋
「ひとり親」とは、現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない一定の者のうち、次に掲げる要件を満たすものをいいます。
⑴ その者と生計を一にする子(他の者の同一生計配偶者又は扶養親族とされている者を除き、その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が 48 万円以下のものに限ります。以下同じです。)を有すること。
⑵ 合計所得金額が 500 万円以下であること。
⑶ その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者(次に掲げる者をいいます。以下同じです。)がいないこと。
イ その者が住民票に世帯主と記載されている者である場合には、その者と同一の世帯に属する者の住民票に世帯主との続柄が世帯主の未届の夫又は未届の妻である旨その他の世帯主と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる続柄である旨の記載がされた者
ロ その者が住民票に世帯主と記載されている者でない場合には、その者の住民票に世帯主との続柄が世帯主の未届の夫又は未届の妻である旨その他の世帯主と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる続柄である旨の記載がされているときのその世帯主
このように、ひとり親は、婚姻歴の有無や性別にかかわらず、その者と生計を一にする子を有するなど、上記要件を満たす単身者が該当することとなります。
そのため、改正前は寡婦(寡夫)控除の対象ではなかったいわゆる未婚のひとり親が「ひとり親」に該当することとなる場合や、反対に、改正前は寡婦(寡夫)控除の対象であった方が「ひとり親」に該当しないこととなる場合がありますので、ご注意ください。
なお、改正前は「寡夫」又は「特別の寡婦」に該当していた方の場合、上記要件のうち、⑶以外の要件は満たしていますので、上記⑶の要件を満たせば「ひとり親」に該当することとなります。
2020年05月22日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
青色申告承認申請についても、4月17日以後の申請であっても、新型コロナウイルスの影響により遅れたのであれば
認められたのはご存じのことと思いますが、
個別の期限延長の取り扱いは、申請等をすることができない事情がある場合に限られる訳ですから、
新型コロナウイルスの影響により申請が遅れてしまった旨を記載していないのは言語道断として、
例えば4月17日以後に修正申告や更正の請求などの手続を行っておきながら、
別の日に青色申告承認申請を行うなど、状況からしてちぐはぐになると認められないようですので
十分注意が必要です。
また、青色申告特別控除で65万円の控除を受けるには確定申告書を提出期限内に提出することが要件ですから、
期限延長を申請する場合には、くれぐれもその旨の記載を忘れないようにしたいところです。
2020年05月16日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
税務通信№3604の記事のご紹介です、
4月1日以後の相続から開始されている配偶者居住権ですが、
分離課税ではなく「総合課税」が予定されているとのことです。
配偶者敷地利用権を考えれば分離課税だろうな、と考えていたのでかなり驚いています!
総合課税される課税理由としては、配偶者居住権を対価を得て消滅させた場合が考えられます。
配偶者が配偶者居住権を取得して暮らしていたけれども施設に入所することが決まり、自宅を子供が残すも売却するも自由にしておきたい、といった状況でしょうか。
私自身の感覚的なものと少し乖離するので、なんだか悩ましい制度になるような、、、(>_<)
2020年05月15日|近藤会計
税理士の近藤慎之助
所得税法上の障害者と相続税法上の障害者の違いについてあらためて確認しています。
下記のようになりますが、つまり、若干相続税法上の障害者の範囲が狭い。
ただ、「常に就床を要し、複雑な介護を要する者」について市町村長等の認定を受けられないことがあるのかどうか、
通常であれば要介護による障害者認定を受けられるように思うので、相続税法上の制限は何を意味しているのか、、、
所得税法施行令
六 前各号に掲げる者のほか、常に就床を要し、複雑な介護を要する者
相続税法基本通達
(5) 常に就床を要し、複雑な介護を要する者のうち、
精神又は身体の障害の程度が(1)又は(3)に掲げる者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている者
所得税法
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
・
・
二十八 障害者 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものをいう。
所得税法施行令
(障害者及び特別障害者の範囲)
第十条 法第二条第一項第二十八号(障害者の意義)に規定する政令で定める者は、次に掲げる者とする。
一 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又は児童相談所、知的障害者更生相談所(知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)第九条第六項(更生援護の実施者)に規定する知的障害者更生相談所をいう。次項第一号及び第三十一条の二第十四号(障害者等の範囲)において同じ。)、精神保健福祉センター(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)第六条第一項(精神保健福祉センター)に規定する精神保健福祉センターをいう。次項第一号において同じ。)若しくは精神保健指定医の判定により知的障害者とされた者
二 前号に掲げる者のほか、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第四十五条第二項(精神障害者保健福祉手帳の交付)の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者
三 身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第十五条第四項(身体障害者手帳の交付)の規定により交付を受けた身体障害者手帳に身体上の障害がある者として記載されている者
四 前三号に掲げる者のほか、戦傷病者特別援護法(昭和三十八年法律第百六十八号)第四条(戦傷病者手帳の交付)の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている者
五 前二号に掲げる者のほか、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年法律第百十七号)第十一条第一項(認定)の規定による厚生労働大臣の認定を受けている者
六 前各号に掲げる者のほか、常に就床を要し、複雑な介護を要する者
七 前各号に掲げる者のほか、精神又は身体に障害のある年齢六十五歳以上の者で、その障害の程度が第一号又は第三号に掲げる者に準ずるものとして市町村長又は特別区の区長(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所が老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第五条の四第二項各号(福祉の措置の実施者)に掲げる業務を行つている場合には、当該福祉に関する事務所の長。次項第六号において「市町村長等」という。)の認定を受けている者
所得税法基本通達
〔障害者(第28号関係)〕
(障害者として取り扱うことができる者)
2-38 身体障害者手帳の交付を受けていない者又は戦傷病者手帳の交付を受けていない者であっても、次に掲げる要件のいずれにも該当する者は、令第10条第1項第3号又は第4号《障害者及び特別障害者の範囲》に掲げる者に該当するものとして差し支えない。この場合において、その障害の程度が明らかに同条第2項第3号又は第4号に規定する障害の程度であると認められる者は、法第2条第1項第29号に掲げる特別障害者に該当するものとして差し支えない。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平26課個2-9、課審5-14改正)
(1) その年分の法第112条第1項《予定納税額の減額の承認の申請手続》に規定する申請書、確定申告書、給与所得者の扶養控除等申告書、退職所得の受給に関する申告書又は公的年金等の受給者の扶養親族等申告書を提出する時において、これらの手帳の交付を申請中であること、又はこれらの手帳の交付を受けるための身体障害者福祉法第15条第1項《身体障害者手帳》若しくは戦傷病者特別援護法施行規則第1条第4号《手帳の交付の請求》に規定する医師の診断書を有していること。
(2) その年12月31日その他障害者であるかどうかを判定すべき時の現況において、明らかにこれらの手帳に記載され、又はその交付を受けられる程度の障害があると認められる者であること。
相続税法
(定義)
第一条の二 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
相続税法
(障害者控除)
第十九条の四 相続又は遺贈により財産を取得した者(第一条の三第一項第二号から第四号までの規定に該当する者を除く。)が当該相続又は遺贈に係る被相続人の前条第一項に規定する相続人に該当し、かつ、障害者である場合には、その者については、第十五条から前条までの規定により算出した金額から十万円(その者が特別障害者である場合には、二十万円)にその者が八十五歳に達するまでの年数(当該年数が一年未満であるとき、又はこれに一年未満の端数があるときは、これを一年とする。)を乗じて算出した金額を控除した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。
2 前項に規定する障害者とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものをいい、同項に規定する特別障害者とは、同項の障害者のうち精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるものをいう。
3 前条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定を適用する場合について準用する。この場合において、同条第二項中「前条」とあるのは、「第十九条の三」と読み替えるものとする。
相続税法施行令
(障害者の範囲等)
第四条の四 法第十九条の四第二項に規定する精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものは、次に掲げる者とする。
一 所得税法施行令第十条第一項第一号から第五号まで及び第七号(障害者及び特別障害者の範囲)に掲げる者
二 所得税法施行令第十条第一項第六号に掲げる者のうち、その障害の程度が同項第一号又は第三号に掲げる者に準ずるものとして同項第七号に規定する市町村長等の認定を受けている者
相続税法基本通達
(一般障害者の範囲)
19の4-1 法施行令第4条の4第4項に規定する「一般障害者」とは、次に掲げる者をいうのであるから留意する。(昭47直資2-130追加、昭50直資2-257、昭57直資2-177、平2直資2-136、平5課資2-156、平8課資2-116、平11課資2-251、平12課資2-258、平14課資2-9、平15課資2-1、平17課資2-4、平22課資2-12、課審6-15、課評2-22、平25課資2-10改正)
(1) 児童相談所、知的障害者更生相談所(知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第9条第6項((更生援護の実施者))に規定する知的障害者更生相談所をいう。以下19の4-2までにおいて同じ。)、精神保健福祉センター(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第6条第1項((精神保健福祉センター))に規定する精神保健福祉センターをいう。以下次項において同じ。)若しくは精神保健指定医の判定により知的障害者とされた者のうち重度の知的障害者とされた者以外の者
(2) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第45条第2項((精神障害者保健福祉手帳))の規定により交付を受けた精神障害者保健福祉手帳(以下19の4-3までにおいて「精神障害者保健福祉手帳」という。)に障害等級が二級又は三級である者として記載されている者
(3) 身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第15条第4項((身体障害者手帳))の規定により交付を受けた身体障害者手帳(以下19の4-3までにおいて「身体障害者手帳」という。)に身体上の障害の程度が3級から6級までである者として記載されている者
(4) (1)、(2)又は(3)に掲げる者のほか、戦傷病者特別援護法(昭和38年法律第168号)第4条((戦傷病者手帳の交付))の規定により交付を受けた戦傷病者手帳(以下19の4-3までにおいて「戦傷病者手帳」という。)に記載されている精神上又は身体上の障害の程度が次に掲げるものに該当する者
イ 恩給法(大正12年法律第48号)別表第一号表の二の第四項症から第六項症までの障害があるもの
ロ 恩給法別表第一号表の三に定める障害があるもの
ハ 傷病について厚生労働大臣が療養の必要があると認定したもの
ニ 旧恩給法施行令(大正12年勅令第367号、恩給法施行令の一部を改正する勅令(昭和21年勅令第504号)による改正前のものをいう。)第31条第1項に定める程度の障害があるもの
(5) 常に就床を要し、複雑な介護を要する者のうち、精神又は身体の障害の程度が(1)又は(3)に掲げる者に準ずるものとして市町村長又は特別区の区長(社会福祉法(昭和26年法律第45号)に定める福祉に関する事務所が老人福祉法(昭和38年法律第133号)第5条の4第2項各号((福祉の措置の実施者))に掲げる業務を行っている場合には、当該福祉に関する事務所の長。以下「市町村長等」という。)の認定を受けている者
(6) 精神又は身体に障害のある年齢65歳以上の者で、精神又は身体の障害の程度が(1)又は(3)に掲げる者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている者
日本年金機構
Q. 「常に就床を要し、複雑な介護を要する方」とは、どういう状態をいい、どのように判断するのですか。
A.たとえば、寝たきりのままの方等が該当します。
「常に就床を要し、複雑な介護を要する方」とは、引き続き6か月以上にわたって身体の障害により就床を要し、介護を受けなければ自ら排せつ等をすることができない程度の状態にあると認められる方のことです。排せつ等の日常生活に支障のある寝たきりのままの方は該当することになります。
なお、「常に就床を要し、複雑な介護を要する方」であることについて、特に証明するものはありませんが、症状が固定すれば身体障害者手帳の交付申請を行うことができます。
2020年05月02日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
税務通信の記事より上場株式等の繰越控除について「その後において連続して確定申告書を提出している場合」の記事がありましたが、
そもそも上場株式等の譲渡損失の繰越控除について、
繰越控除用の確定申告書付表等を添付し忘れた際に、更正の請求書を提出すればよかったのは
どの条文からだったかなと、なかなか見つからなかったのですが、
措置法通達だったのですね。直接租税特別措置法に盛り込まないのはなぜなんでしょうか、、、
事例としては今までありませんが、この機会に条文を洗い出します。
租税特別措置法 抜粋
(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除)
第三十七条の十二の二
5 確定申告書を提出する居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、その年の前年以前三年内の各年において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額(この項の規定の適用を受けて前年以前において控除されたものを除く。)を有する場合には、第三十七条の十一第一項後段の規定にかかわらず、当該上場株式等に係る譲渡損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該確定申告書に係る年分の同項に規定する上場株式等に係る譲渡所得等の金額及び第八条の四第一項に規定する上場株式等に係る配当所得等の金額(第一項の規定の適用がある場合にはその適用後の金額。以下この項において同じ。)を限度として、当該年分の当該上場株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得等の金額の計算上控除する。
7 第五項の規定は、同項に規定する居住者又は恒久的施設を有する非居住者が前項に規定する上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の所得税につき当該上場株式等に係る譲渡損失の金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合であつて、第五項の確定申告書に同項の規定による控除を受ける金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。
所得税法
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
三十七 確定申告書 第二編第五章第二節第一款及び第二款(確定申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
措置法通達
(更正の請求による更正により上場株式等に係る譲渡損失の金額があることとなった場合 )
37の12の2-5 措置法第37条の12の2第7項に規定する「上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の所得税につき当該上場株式等に係る譲渡損失の金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある確定申告書を提出」した場合には、同項に規定する上場株式等に係る譲渡損失の金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類(次項において「明細書等」という。)の添付がなく提出された確定申告書につき通則法第23条《更正の請求》に規定する更正の請求に基づく更正により、新たに上場株式等に係る譲渡損失の金額があることとなった場合も含まれるものとする。