日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。
2019年08月31日|近藤会計
今度は延納の利子税を確認したいと思います。
(算式)
延納利子税割合(年割合) × 延納特例基準割合(※) ÷ 7.3% (注)0.1%未満の端数は切り捨て
延納特例基準割合については、先ほどの農地等の納税猶予に係る利子税の特例基準割合と同じです。
こちらの表はみなさんご存じの通りの評価と思います。
財産の価額の合計額のうちに占める不動産等の価額の割合によって、利子税率が異なります。
各年の延納特例基準割合が7.3%に満たない場合の利子税の割合は、特例割合が適用されることになりますから、
直近では特例割合になるかと思います。
例えば不動産等の割合が75%以上の場合の、不動産等に係る延納相続税の特例割合は農地等の納税猶予に係る利子税率と同じ0.7%となります。
延納の際の必要担保額については、
担保財産価値 > 担保財産価値 > 延納した相続税本税+第一回目の利子税✕3
なお、延納の利率は、延納適用時の利率が固定金利となるため、延納適用時点での高い利率が適用されたままであるような場合は、金融機関による借り替えを検討する必要もあるかもしれません。
納税猶予の利子税と延納の利子税を区分して理解する必要がありますが、なかなか難しいです!
2019年08月31日|近藤会計
小田原の税理士の近藤慎之助です。
小田原税務署管轄だけではないと思うのですが、
延納の管轄が横浜中税務署から国税局に移ったそうで、
国税局の担当者いわく、延納の事前確認も所轄税務署で出来なくなったとことで、延納にかかる利子税相当が担保価値に収まっているかどうかを自身で確認する必要が出てきます。
(⇒※追記、国税局より事前相談は現在も可能ですとの回答をもらいました、国税局の担当者さん間違えてますよ(^^;12/18)
この利子税の計算を自身で確認するのは結構難しく、そもそも利子税の率はどの率を使えば良いのか、たくさんの率があるなか、選択するのは困難です。
利子税と利率について私なりにまとめてみました。
農地等の納税猶予の利子税
計算式
3.6%又は6.6% × 特例基準割合 ÷ 7.3%
がベースですが、まずは
3.6%か6.6%かです、ざっくり区分すれば
市街化区域内農地 ・・・6.6%
それ以外・・・3.6% ここには生産緑地も含まれます
通常は生産緑地に対して納税猶予を利用される方が多いので、生産緑地を前提として利率を計算します。
次に特例基準割合を確認する訳でこれがどこを見れば良いのか分かりづらい
~各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に年1%を加算した割合~
これを実際に当てはめてみると
新規の短期貸出約定平均金利は次の通り、日本銀行のデータとしてありました
10月から9月までを合計して12月で割ると0.6となります。(計算合っていますでしょうか?)
つまり平成30年12月に財務省より公示された割合と一致しています。
これに1%加算すると1.6%となり、特例基準割合が算定されます。
直近の特例基準割合の推移は次の通り
平成26年1月1日 ~ 1.9%
平成27年1月1日 ~ 1.8%
平成29年1月1日 ~ 1.7%
平成30年1月1日 ~ 1.6%
そしてこの特例基準割合を最初の算式に当てはめて、
無事、農地等の納税猶予の利子税率(生産緑地を前提にしています)が算定されます。
平成26年1月1日 ~ 0.9%
平成27年1月1日 ~ 0.8%
平成29年1月1日 ~ 0.8%
平成30年1月1日 ~ 0.7%
農地等の納税猶予の必要担保額の計算では利子税額は平均余命による利子税を本税に上乗せとのことなので、
担保財産価値 > 猶予した相続税本税+年の利子税額×平均余命
という式になるはずです(税務署に確認していません)
(納税猶予分の相続税額に相当する担保) 措置法通達70条の6-17抜粋
70の6-17 措置法第70条の6第1項に規定する「当該納税猶予分の相続税額に相当する担保」とは、納税猶予に係る相続税の本税の額と当該本税に係る納税猶予期間中の利子税の額との合計額に相当する担保をいうものとする。
(1) この場合において、同項の規定の適用を受ける農地等の全部を担保として提供する場合(当該農地等につき当該相続税額に優先する担保権が設定されている場合を除く。)には、同項に規定する「当該納税猶予分の相続税額に相当する担保を提供した場合」に該当するものとする。
(2) なお、上記以外の方法により担保を提供する場合には、納税猶予に係る相続税の本税の額とこれに係る農業相続人の平均余命年数に相当する納税猶予期間中の利子税の額との合計額に相当する担保が提供された場合が同項に規定する「当該納税猶予分の相続税額に相当する担保を提供した場合」に該当するものとして取り扱う。
2019年08月24日|近藤会計
小田原フラワーガーデンより☆
小田原の税理士の近藤慎之助です。
~年金支払開始日の前日に、1回に限り、1年を限度として、年金支払開始日を繰り延べることができます。~
このような保険のしおりを見ることがあります。
これは満期保険金の据え置きの取り扱いとどのような関係になっているのでしょうか疑問に感じました。
満期保険金を据え置いた場合の所得税の取り扱いは、
~一時所得の総収入金額の収入すべき時期は、満期返戻金等のようなものについては、その支払を受けるべき事実が生じた日による。(所基通36-13 抜粋)~
つまり満期保険金を据え置いて、保険金を受け取っていなかったとしても満期日を迎えた年の所得として税金がかかるということです。
満期を迎えて、もらったお金をあらためて保険会社に預けなおした、と課税上整理されます。
手許にない保険金に課税されるため資金繰りが悪くなります。
そして、年金開始日の繰り延べは別物として、
-年間繰り延べた際には、例えば本来課税される年の翌年に課税されることになるそうです。支払調書の発行も翌年になると、(某保険会社より)
繰り延べは1年に限定している保険会社さんが多いように感じますが、
これって利益調整じゃないの?と感じつつ、、
お客様に個人年金の受け取りを据え置きにしたのか、繰り延べにしたのか確認する必要がありますし、
保険会社から提出される支払調書はいつ発行されるのか、保険会社に確認する必要もあると思います。
個人の方で据え置いたのか繰り延べたのか把握している方は少ないと思いますし、
やはり保険会社にご本人と一緒に電話して課税関係(支払調書の提出時期等)を確認するのが
ベストだと思います。
保険の税務の取り扱いは保険会社の契約内容等により変わるため、想像以上に難しい!!
補足ですが、
保険の相談で多いのが、一時受取とするか、年金受け取りとするかという論点で、
ご主人の社会保険の扶養から外れたくないのだけれど、、、
という相談。
ご主人の会社によりますが、
通常は、満期金の受け取りなどによる継続性のない収入・所得は社会保険の扶養上の判断基準に入れないことが
多いと思います。まずはご主人の会社にご確認くださいということになります。
2019年08月23日|近藤会計
小田原の税理士の近藤慎之助です。
今日は東京地方税理士協同組合のセミナーでした
「相続税申告における失敗事例20」
木下勇人先生、トーマツに勤めているときに名古屋事務所との合同研修会の際にお会いしているような、、、
小気味よいテンポですすんでいくセミナーは心地よかったです!
研修であらためて再確認させて頂いた点をいくつか、
1.相続人が一人の場合の数次相続の取り扱い
⇒
研修中に触れた論点ではありませんが、テキストに記載されています東京地裁h26.3.13の判決を参考にされていますが、
これは相続登記の話であって、相続税の計算でも同様の取り扱いかといわれると疑問が残りますがどうでしょうか?
2.養子縁組の際に孫養子とするのはいいけれど、例えば3歳の孫を養子にするなど成人までに相当の期間がある場合には、遺産分割協議に特別代理人をたてる必要が出てきてしまう。
⇒
実際に問題として顕在するのが通常数年先になるので忘れがちな論点だと思いますが、未成年者が相続人になってしまった際には大変手続きになってしまいます。
あるいは遺言を併用して頂くことが大事なんだと思います。
セミナー中は集中していないわけではないのですが、いろんな考え事をして、なぜかセミナーとは全く別の論点の整理がついちゃって、おっっ!と思うことがしばしば
今日も手続き書の追記内容が思い浮かび早速差し込みます(^з^)
2019年08月17日|近藤会計
※小田原市久野和留沢 たいようの丘公園より、標高が高いため涼しいです(>_<) そして山が深い!
小田原の税理士の近藤慎之助です。
最近は相続時精算課税制度を利用されるお客様が増えておりますので、同制度について少しご紹介したいと思います。
ご相談のお客様に最初にお伝えするのは、同制度は税メリットを享受することを基本的には想定していないという点を
お伝えしております。
(結果として税メリットを受けることは十分あります)
同制度のメリットデメリットはあらためてご説明するとして、
同制度を利用する中でふと気がついた点で、
相続時精算課税制度による贈与の場合、添付書類として、戸籍の附票など住所の分かる資料が求められていますが、
勝手に住宅取得資金の特例との併用時に戸籍の附票が必要なものだと思っていました。
そうではなくて、
相続時精算課税制度が開始した平成15年1月1日以後の住所等を確認して、過去の「相続時精算課税選択届出書」の提出が想定される
税務署へ照会をするためという、税務署側の事務手続きとしての必要書類だったのですね。
相続時精算課税制度を利用するときは戸籍の附票等に相当する書類を添付するようにしないと
税務署からの問い合わせ事由となりますので必ず添付してあげましょう。
もう一点、
相続時精算課税制度を受けようとした受贈者が、申告前に亡くなってしまった場合の同制度の手続きですが、
受贈者の相続人はその死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内に「相続時精算課税選択届出書」を贈与税の申告書に添付してその死亡した者の納税地の所轄税務署に提出することができます。
これにより、すでに亡くなられた受贈者において、相続時精算課税の適用を受けることができます。
また、通常の暦年贈与の準確定申告も10ヵ月以内となりますのでご留意下さい。