日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。
2020年04月05日|近藤会計
小田原の税理士の近藤慎之助です。
換価分割時の譲渡所得について、所得税の申告期限までに換価分割の割合が決まっていなかった場合には法定相続分に応じて譲渡所得の申告をすることに
なるものと思いますが、その申告後に換価分割の割合が法定相続分以外の割合だったとしても、譲渡所得に異動はないことになるため、
修正申告または更正の請求はできないことになっています。
アドバイスする際の注意点ですね。
未分割遺産を換価したことによる譲渡所得の申告とその後分割が確定したことによる更正の請求、修正申告等
【回答要旨】
遺産分割の一形態である換価分割には、換価時に換価代金の取得割合が確定しているものと、確定しておらず後日分割されるものとがあります。
1 換価時に換価代金の取得割合が確定している場合
この場合には、1換価代金を後日遺産分割の対象に含める合意をするなどの特別の事情がないため相続人が各法定相続分に応じて換価代金を取得することとなる場合と、2あらかじめ換価時までに換価代金の取得割合を定めている(分割済)場合とがあります。
1の場合は、各相続人が換価遺産に有する所有割合である法定相続分で換価したのですから、その譲渡所得は、所有割合(=法定相続分)に応じて申告することとなります。
2の場合は、換価代金の取得割合を定めることは、換価遺産の所有割合について換価代金の取得割合と同じ割合とすることを定めることにほかならず、各相続人は換価代金の取得割合と同じ所有割合で換価したのですから、その譲渡所得は、換価遺産の所有割合(=換価代金の取得割合)に応じて申告することになります。
2 換価時に換価代金の取得割合が確定しておらず、後日分割される場合
遺産分割審判における換価分割の場合や換価代金を遺産分割の対象に含める合意をするなど特別の事情がある場合に、換価後に換価代金を分割したとしても、1譲渡所得に対する課税はその資産が所有者の手を離れて他に移転するのを機会にこれを清算して課税するものであり、その収入すべき時期は、資産の引渡しがあった日によるものとされていること、2相続人が数人あるときは、相続財産はその共有に属し、その共有状態にある遺産を共同相続人が換価した事実が無くなるものではないこと、3遺産分割の対象は換価した遺産ではなく、換価により得た代金であることから、譲渡所得は換価時における換価遺産の所有割合(=法定相続分)により申告することになります。
ただし、所得税の確定申告期限までに換価代金が分割され、共同相続人の全員が換価代金の取得割合に基づき譲渡所得の申告をした場合には、その申告は認められます。
しかし、申告期限までに換価代金の分割が行われていない場合には、法定相続分により申告することとなりますが、法定相続分により申告した後にその換価代金が分割されたとしても、法定相続分による譲渡に異動が生じるものではありませんから、更正の請求等をすることはできません。
2020年04月04日|近藤会計
小田原の税理士の近藤慎之助です。
小池正明先生の著書「税理士のための相続法と相続税法」より名義株の判断についての記載をご紹介
名義株かどうか判断するには結局のところ事実認定ということになると思いますが、
1.株券が発行されているかどうか
2.会社設立時の株式払込記録はあるかどうか
3.配当金の受領は行われているかどうか
4.株主総会や取締役会の議事録の記録はどうか
5.名義人の株主としての認識はどうか
小池先生のおっしゃるとおり5の名義人の認識が大事ですが、名義株の所有者かもしれない本人(あるいはその相続人達)に確認するのは実際のところ勇気が必要だったりしますよね、、、
名義株の問題が起こる会社は社歴が長い会社が多く、株券発行会社の場合も多いと思います。
であれば、まずは手元に株券がどれだけあるのかの確認が最初の一歩だと考えています。
2020年03月30日|近藤会計
小田原の税理士の近藤慎之助です。
質疑応答事例の表題を見ると(令和元年7月1日前に開始した相続)ということで、令和元年7月1日以後の相続は同制度の取り扱いが変わることが推測されるのですが、
遺留分侵害額請求の場合には、金銭による清算が前提なので、遺留分侵害額請求により不動産を渡した場合には、不動産の譲渡と整理されます。そのため、従前の遺留分減殺請求では認められていた(こちらも要件を満たす場合に限りますが)小規模宅地等の特例の選択替えは、遺留分侵害額請求ではできなくなる、ということですね。注意が必要です!
といっても、遺留分減殺請求に基づいて小規模宅地等の特例の選択替えという事例はそうそうないと思いますが、、
2020年03月30日|近藤会計
小田原の税理士の近藤慎之助です。
公表裁決のご紹介です、
争点は親族間の賃貸借契約に基づく借地権の有無です。
審判所の有無の主な判断として、
1.賃料が固定資産税等程度であったこと
2.権利金の授受がなかったこと
3.賃料が第三者への賃料と比べて低廉であったこと
4.賃貸借人が親族であったこと
の4点をあげているようです
ちなみに、請求人は、固定資産税等程度の賃料をきちんと確定申告していた(から賃貸借に該当する)、という主張もしていますが、審判所は、確定申告していたとしても本件賃貸関係が賃貸借となるということではないと判断しています。
2020年03月29日|近藤会計
小田原の税理士の近藤慎之助です。
今年4月に施行される配偶者居住権、気がつけばスタート間近です、
相談はありますが、実際に利用しようとお考えの方は少ないように感じています。
税理士としては、配偶者居住権を設定することの税金への影響を検討しなければいけないのですが、
配偶者居住権の放棄や譲渡した場合等の課税リスクの認識は必要だと思います。
配偶者居住権の登記は必ずというわけではないですが、それでも記録として登記をおすすめしたいと思います。
未登記家屋であった場合には、建物の登記から、ということになります
配偶者居住権の利用は4月1日以降の相続、そして4月1日以降に作成された遺言書ということですので、
遺言書に関しては見直しも考える必要があります