日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。
2021年12月25日|近藤会計
小田原の税理士の近藤慎之助です。
配偶者居住権が始まってから検討することが増えました
システムに入れればある程度自動計算してくれるわけですが、
あらためて手動で計算してみると
配偶者居住権の存続年数について考えてみると
「配偶者居住権が設定された日における配偶者の満年齢」となっているわけで、
相続開始日の配偶者の満年齢ではないことに気が付き、、、
相続開始から分割協議がなかなかまとまらない時には、満年齢に注意ですね
当たり前なのですが、新しい気付きということで
あわせて配偶者居住権の敷地利用権に小規模宅地等の特例を適用する場合の限度面積計算について
租税特別措置法施行令が新設されています
配偶者居住権の敷地利用権と敷地所有権の相続税評価額により按分して
面積相当を計算することになります。
租税特別措置法施行令
(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)
第四十条の二
6 法第六十九条の四第一項の規定の適用を受けるものとしてその全部又は一部の選択をしようとする特例対象宅地等が配偶者居住権の目的となつている建物の敷地の用に供される宅地等又は当該宅地等を配偶者居住権に基づき使用する権利の全部又は一部である場合には、当該特例対象宅地等の面積は、当該面積に、それぞれ当該敷地の用に供される宅地等の価額又は当該権利の価額がこれらの価額の合計額のうちに占める割合を乗じて得た面積であるものとみなして、同項の規定を適用する。
2020年11月07日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
令和元年11月12日の裁決事例です
相続税の広大地評価と土壌汚染浄化費用の控除額について
1.広大地は分譲マンション適地ということで、否認されています
直近で建築された4件の建物のうち3件がマンション1件がコンビニということ、つまり、マンション敷地に移行しつつある地域ということなのでしょうね。実際に相続後、売却先の業者は対象地上に7階建てのマンションを建築しています。
2.土壌汚染浄化費用として控除すべき金額は見積書の金額(5130万円)か実際の負担額(2560万円)を基準にすべきか
この結論は面白かったですが、よく考えれば妥当な結論として見積書の金額×80%で決着しています。
理由として➀見積もりした業者はちゃんとした業者だった➁見積書と実際の負担額の差はちゃんとした理由があり(仮設工事、山留工事、掘削工事などは建物建築時に別の業者にお願いした)、5130万円は土壌汚染対策工事費用の総額としては妥当な金額であった。
実負担額には何が作業項目として入っているのか注意すること、を教訓にしたいと思います。
2020年10月30日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
令和元年12月18日裁決
相続税にかかる重加算税の取消事案です
税務署からの「相続についてのお尋ね」に対して、財産の一部のみを記載して提出したことは隠ぺい仮装行為といえるとして税務署より重加算税賦課決定されています
税務署の調査にはしっかりと応じており、すべての財産が記載された財産一覧表を調査の際には調査官に提示しているなどの前提があり
そもそも、お尋ね文書は、あくまで税務署が納税者に対して任意に提出を求める性質のものであり、相続財産も概括的な金額記載を要求しているにすぎないから、仮に納税者が提出したお尋ね文書に記載した相続財産と実際の相続財産に乖離があったとしても、それをもって、直ちに納税者がお尋ね文書に意図的に虚偽の記載をして提出したとは認められないという判断をしています
また、この判断とは別に、意図的に相続税の申告書を提出しなかったと外部からもうかがえるかどうか判断していますが、こちらも、特段の行動があったとされる事情は見当たらない、としています
自身で相続税の申告をしようと頑張っても、結果として申告期限に間に合わず期限後申告になってしまった、という案件は稀にありますからね、重加算税は確かに厳しいような。。
2020年10月27日|近藤会計
税理士の近藤慎之助です
令和1年11月19日裁決
相続税にかかる重加算税の取消事案です
読んでみたら週刊や月刊の税務雑誌で最近よく取り上げられている事案でした
税理士が調査対応時に、私に見せていないのだから隠ぺいと言えるかも、というようなことを調査官に申述したことを取り上げられている件、ですね
そんなのは税理士の感想に過ぎないので、どちらでもよいと思いますし審判所もそのように判断しています
だいぶご高齢の相続人(逆縁)なので、被相続人の預貯金を税理士に提示し忘れてしまったと思われるようで
相続後すぐに、税理士に非提示だった預貯金を換金し自身の預貯金に入れた後、そのままにしていた状況なので
審判所はこのような状況(1.本件預貯金の通帳も調査時に調査官にちゃんと提示している2.相続人が換金して自身の預貯金に入れた後、当該口座を解約などしていない)をもって、相続人が本件預貯金を故意に相続財産から除外する意思があったものと認め難いと判断しています
2020年10月26日|近藤会計
大井町四季の里より
税理士の近藤慎之助です
令和2年3月17日裁決 相続税
土地の評価についてですが、
当初申告を刷新するつもりなのか、論点多すぎるように感じます
土地7か所につき見直していて、なんだかなという感じは受けてしまいます
そして、預貯金に関しては隠ぺいがあり重加算税の賦課が確定しています
という前提で、大きく区分して
1.広大地に該当するか
2.借地権の有無
3.雑種地等の比準地目の判定
という感じでしょうか
広大地だけの裁決なら今更かなと思いましたが、他の論点は面白かったです
ちなみに広大地には該当しないという結論です
借地権の有無については、土地上で営む事業などの主たる目的により判断すべきという、最近の月刊税理笹岡先生の記事の勉強が生きてきます
この事案では、主たる目的はリース商品である建設機械及び車両等の保管場所を確保することである、としています
よって、建物の所有を目的とする土地の賃借権に該当しないとして、借地権は無しと判断しています
雑種地等の比準地目の判定は、宅地比準と判断していますが、転用許可済農地とは宅地転用許可済農地ということなんでしょうね
ちなみに、審判所から株価の過大評価を指摘されており、株価が下がっています、きっと税理士案件だとは思うのですが、、、
その他、隠ぺい仮装事案の配偶者の税額軽減額について、税務署の計算の誤りについても指摘していますが、これについては、もう少し掘り下げたいと思います