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若手税理士のいろはにほへと

若手税理士のいろはにほへと

   

日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。

若手税理士のいろはにほへと

相続税

小規模宅地等の特例と単身赴任による住所変更

2020年08月17日|近藤会計

税理士の近藤慎之助です

相続人が単身赴任されていた場合の取り扱いとして、下記国税庁の質疑応答事例がありますが、
住民票を被相続人の住所地に残したか、単身赴任先に移したかで取り扱いが変わるのかどうか、というご相談です、

単身の相続人の単身赴任というのは単なる転居だと思いますので、仮に住民票を被相続人の住所地に残したとしても同居とは言えないでしょうね、
いわゆる家なき子としての適用可能性は残ると思いますが、、、

そして、例えば被相続人が、相続人、相続人の配偶者とその子供と同居していたが、相続人が転勤により単身赴任し、相続人だけ住民票を転勤先に移した場合であっても、下記国税庁の取り扱いに当てはまりますから適用可能と判断されることが多いと思います、つまり住民票の取り扱いは重要な点ではないと

「転勤という特殊事情が解消したときは、その相続人の配偶者等と起居をともにすることになると認められる家屋といえるかどうか」が大事な判定基準です

単身赴任中の相続人が取得した被相続人の居住用宅地等についての小規模宅地等の特例

相続放棄と相続税で注意すべき点

2020年08月14日|近藤会計

税理士の近藤慎之助です

ご質問がありましたので、
相続人が相続放棄した場合の相続税への影響について確認です

細かい論点は省いて、主に次の点に注意が必要ではないでしょうか

・相続税の基礎控除・・・放棄がなかったものとして基礎控除を計算します、つまりそのままということです

・生命保険の非課税枠・・・こちらも放棄がなかったものとして非課税枠はそのままですが、放棄した相続人は非課税枠を利用できなくなります
(死亡退職金の非課税枠)

・相続税の2割加算・・・放棄した相続人はすでに相続人ではないのですが、条文通り放棄した相続人が被相続人の一親等の血族又は配偶者であれば、相続税の2割加算は適用されません。放棄しているので通常取得する遺産もありませんが、たとえば、放棄した相続人を受取人に指定していた生命保険金への課税などがこれに該当します
なお、相続人が放棄したことにより、次順位の相続人が遺産を相続等した場合には、やはり当該者が被相続人の一親等の血族又は配偶者に該当しなければ2割加算の対象になります、相続放棄した場合にはこれに該当する場合が多いです

しかし、上記を条文で確認すると意外に難しい気がしますが、合っていますでしょうか、、、前にも条文で確認したと思っていたのですが、う~ん

なお、忘れやすいのが相続時精算課税を適用している相続人が相続放棄をしていたとしても、基礎控除を超えていれば申告が必要ですから注意が必要です
また、配偶者の税額軽減については、配偶者が放棄していたとしても適用可能となります


相続税法

(遺産に係る基礎控除)
第十五条 相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格(第十九条の規定の適用がある場合には、同条の規定により相続税の課税価格とみなされた金額。次条から第十八条まで及び第十九条の二において同じ。)の合計額から、三千万円と六百万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて算出した金額との合計額(以下「遺産に係る基礎控除額」という。)を控除する。

2 前項の相続人の数は、同項に規定する被相続人の民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人の数(当該被相続人に養子がある場合の当該相続人の数に算入する当該被相続人の養子の数は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める養子の数に限るものとし、相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人の数とする。)とする。


(相続又は遺贈により取得したものとみなす場合)
第三条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす。この場合において、その者が相続人(相続を放棄した者及び相続権を失つた者を含まない。第十五条、第十六条、第十九条の二第一項、第十九条の三第一項、第十九条の四第一項及び第六十三条の場合並びに「第十五条第二項に規定する相続人の数」という場合を除き、以下同じ。)であるときは当該財産を相続により取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈により取得したものとみなす。
一 被相続人の死亡により相続人その他の者が生命保険契約(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第三項(定義)に規定する生命保険会社と締結した保険契約(これに類する共済に係る契約を含む。以下同じ。)その他の政令で定める契約をいう。以下同じ。)の保険金(共済金を含む。以下同じ。)又は損害保険契約(同条第四項に規定する損害保険会社と締結した保険契約その他の政令で定める契約をいう。以下同じ。)の保険金(偶然な事故に基因する死亡に伴い支払われるものに限る。)を取得した場合においては、当該保険金受取人(共済金受取人を含む。以下同じ。)について、当該保険金(次号に掲げる給与及び第五号又は第六号に掲げる権利に該当するものを除く。)のうち被相続人が負担した保険料(共済掛金を含む。以下同じ。)の金額の当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分

(相続税の非課税財産)
第十二条 次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。

五 相続人の取得した第三条第一項第一号に掲げる保険金(前号に掲げるものを除く。以下この号において同じ。)については、イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、イ又はロに定める金額に相当する部分
イ 第三条第一項第一号の被相続人のすべての相続人が取得した同号に掲げる保険金の合計額が五百万円に当該被相続人の第十五条第二項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額(ロにおいて「保険金の非課税限度額」という。)以下である場合 当該相続人の取得した保険金の金額
ロ イに規定する合計額が当該保険金の非課税限度額を超える場合 当該保険金の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した保険金の合計額の占める割合を乗じて算出した金額

(相続税の非課税財産に関する経過措置)
第二十四条 新相続税法第十二条第一項第五号及び第六号の規定は、昭和六十三年一月一日以後に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について適用し、同日前に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税については、なお従前の例による。この場合において、同日から施行日までの間に相続又は遺贈により取得した財産に係るこれらの規定の適用については、これらの規定中「第十五条第二項に規定する相続人の数」とあるのは、「相続人(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人)の数」とする。

相続税法基本通達
(相続を放棄した者等の取得した保険金)
12-8 相続を放棄した者又は相続権を失った者が取得した保険金については、法第12条第1項第5号に掲げる保険金の非課税金額の規定の適用がないのであるから留意する。


(相続税額の加算)
第十八条 相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続又は遺贈に係る被相続人の一親等の血族(当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつた当該被相続人の直系卑属を含む。)及び配偶者以外の者である場合においては、その者に係る相続税額は、前条の規定にかかわらず、同条の規定により算出した金額にその百分の二十に相当する金額を加算した金額とする。
2 前項の一親等の血族には、同項の被相続人の直系卑属が当該被相続人の養子となつている場合を含まないものとする。ただし、当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつている場合は、この限りでない。

相続税基本通達
(遺贈により財産を取得した一親等の血族)
18-1 相続の放棄をした者又は欠格若しくは廃除の事由により相続権を失つた者が遺贈により財産を取得した場合において、その者が当該遺贈に係る被相続人の一親等の血族(法第18条第1項に規定する一親等の血族に限る。)であるときは、その者については、法第18条の相続税額の加算の規定の適用がないのであるから留意する。


(配偶者に対する相続税額の軽減)
第十九条の二 被相続人の配偶者が当該被相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した場合には、当該配偶者については、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した残額があるときは、当該残額をもつてその納付すべき相続税額とし、第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額以下であるときは、その納付すべき相続税額は、ないものとする。
一 当該配偶者につき第十五条から第十七条まで及び前条の規定により算出した金額
二 当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の総額に、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額が当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額のうちに占める割合を乗じて算出した金額
イ 当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額に民法第九百条(法定相続分)の規定による当該配偶者の相続分(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続分)を乗じて算出した金額(当該被相続人の相続人(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人)が当該配偶者のみである場合には、当該合計額)に相当する金額(当該金額が一億六千万円に満たない場合には、一億六千万円)
ロ 当該相続又は遺贈により財産を取得した配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額

相続税法基本通達
(相続を放棄した配偶者に対する相続税額の軽減)
19の2-3 配偶者に対する相続税額の軽減の規定は、配偶者が相続を放棄した場合であっても当該配偶者が遺贈により取得した財産があるときは、適用があるのであるから留意する。

税理士のための民事信託

2020年08月10日|近藤会計

税理士の近藤慎之助です

菅野真美先生の税理士のための民事信託を読みました、

税務上の一連の流れが掲載されており参考になること間違いありません!

信託契約書の文案もありますが、各年度の確定申告書、支払調書、信託の計算書、相続税の申告書と、最後までフォローされています。まだ私も実務上の経験はありませんが、ちらほら組成に携わる案件も出てきました

複雑な信託契約は税務上も複雑になり、かつ、裁決事例、判例もないことが多いですから、不明な点を残したままの組成になる可能性があります

お客様のためを思って組成した信託契約が、結局は家族関係を複雑にしてしまった、ということのないように、書面だけでの解決を夢みないように注意しないといけないですね
信託組成は選択肢の一つであって、関係者に十分にご説明したうえで選択いただくものだと思っています

この菅野先生の本のすばらしいところは、最後に実務で一番大事な問題を提起して終了することろでして、

必読の一冊です!!

離婚と税金

2020年08月03日|近藤会計

税理士の近藤慎之助です

最近の芸能人の離婚を偽装離婚ではないかとうわさされているとか、
離婚後も同じマンションの別室に住み、休日は家族で外出、というのは、果たして離婚なのかどうか、、、

家族の価値観は昔とは違い、離婚はしたけど生活上のパートナーという位置づけだとそういった生活もあるんじゃないかとか、
凄く難しい問題ですね
確かに正式な離婚による財産分与では税金がかかることは少ないと思いますが、
一応、相続税では、配偶者の法定相続分である基本2分の1までは相続税かからないわけですから、偽装離婚までして財産分与する目的が何なのか
悪いことを考えつかない私にはよくわかりません
いや、借金帳消しにしようとか、不正受給的な話は論外として、財産規模を減らそうとする人はいるのかもしれないですね

しかし疑い始めると、確かにそうなのかも、と思えるようなこともあるもんですね、
第一目的ではないにしても付随した目的として偽装離婚で課税逃れをする人、とはお付き合いしたくないですね(^^;

担保物の処分

2020年07月29日|近藤会計

税理士の近藤慎之助です

税務当局は、滞納者が提供した担保が徴収すべき国税等に満たないときは、滞納者の他の財産について処分をすることができますが、
国税通則法52条4項より、担保として提供された財産をまずは処分しなければならないことになると思います。

国税不服審判所の公表裁決のうち延納のカテゴリーを見ていますが、延納許可の取り消し処分の取り消しを求めて争われているのですね、でも勝ち取るのは難しそうです、、、

国税不服審判所 公表裁決 延納


国税通則法
(担保の処分)
第五十二条 税務署長等は、担保の提供されている国税がその納期限(第三十八条第二項(繰上請求)に規定する繰上げに係る期限及び納税の猶予又は徴収若しくは滞納処分に関する猶予に係る期限を含む。以下次条及び第六十三条第二項(延滞税の免除)において同じ。)までに完納されないとき、又は担保の提供がされている国税についての延納、納税の猶予若しくは徴収若しくは滞納処分に関する猶予を取り消したときは、その担保として提供された金銭をその国税に充て、若しくはその提供された金銭以外の財産を滞納処分の例により処分してその国税及び当該財産の処分費に充て、又は保証人にその国税を納付させる。

2 税務署長等は、前項の規定により保証人に同項の国税を納付させる場合には、政令で定めるところにより、その者に対し、納付させる金額、納付の期限、納付場所その他必要な事項を記載した納付通知書による告知をしなければならない。この場合においては、その者の住所又は居所の所在地を所轄する税務署長に対し、その旨を通知しなければならない。

3 保証人がその国税を前項の納付の期限までに完納しない場合には、税務署長等は、第六項において準用する第三十八条第一項の規定により納付させる場合を除き、その者に対し、納付催告書によりその納付を督促しなければならない。この場合においては、その納付催告書は、国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、その納付の期限から五十日以内に発するものとする。

4 第一項の場合において、担保として提供された金銭又は担保として提供された財産の処分の代金を同項の国税及び処分費に充ててなお不足があると認めるときは、税務署長等は、当該担保を提供した者の他の財産について滞納処分を執行し、また、保証人がその納付すべき金額を完納せず、かつ、当該担保を提供した者に対して滞納処分を執行してもなお不足があると認めるときは、保証人に対して滞納処分を執行する。

5 前項の規定により保証人に対して滞納処分を執行する場合には、税務署長等は、同項の担保を提供した者の財産を換価に付した後でなければ、その保証人の財産を換価に付することができない。

6 第三十八条第一項及び第二項、前節並びに第五十五条(納付委託)の規定は、保証人に第一項の国税を納付させる場合について準用する。

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