日常の税理士業務の中で気がついたことや、研修や書籍で得た情報を含め、雑多にアップしたいと思っております。自分の勉強ノートを公開した程度のものだとご理解ください。特に税務知識については、同じような経験をされて判断に迷われている方のお力になれればとてもうれしく思います。なお、掲載した日時点の税法であり私自身の知識・経験によりますので、最新の情報や実際の取扱い等についてはご自身にて十分にご確認下さい。
2019年09月03日|近藤会計
いまでも相続税対策の筆頭として話に上がる教育資金贈与
政府も当然に若年層への資金の移転を図ることで景気拡大(特に住宅需要)を目的にしているわけですから、大手を振って相続税対策として良いわけ(?)で、
ただ、年々税制改正等によって制度が縮小されてきています。
あらためて令和元年の税制改正による変更点を確認します。
・受贈者の所得制限
・贈与者が死亡した場合の残高への相続税課税の可能性
・教育資金の範囲の見直し
・教育資金信託終了事由の見直し
特に
1.受贈者の合計所得金額が1000万円超となった場合には非課税制度を利用できない
⇒高額所得者に税制優遇を適用するのは格差拡大
2.相続開始前3年以内の教育資金贈与は受贈者が相続等により取得したものとみなされる。ただし、受贈者が23歳未満である等の場合には相続財産に含まない
⇒亡くなる直前の相続税対策として実行されるのが問題となっていたので一定の規制をした
3.継続して学んでいるなど一定の場合には30歳に達しても教育資金贈与制度を終了しない。最長40歳までこの制度を利用できる
⇒最近は、30歳に達しても学校で学ぶ人が増えたことから、時代に対応した
毎年の税制改正を追うのも仕事ですが、激動の変化が続いているように感じてます。
2019年08月17日|近藤会計
※小田原市久野和留沢 たいようの丘公園より、標高が高いため涼しいです(>_<) そして山が深い!
小田原の税理士の近藤慎之助です。
最近は相続時精算課税制度を利用されるお客様が増えておりますので、同制度について少しご紹介したいと思います。
ご相談のお客様に最初にお伝えするのは、同制度は税メリットを享受することを基本的には想定していないという点を
お伝えしております。
(結果として税メリットを受けることは十分あります)
同制度のメリットデメリットはあらためてご説明するとして、
同制度を利用する中でふと気がついた点で、
相続時精算課税制度による贈与の場合、添付書類として、戸籍の附票など住所の分かる資料が求められていますが、
勝手に住宅取得資金の特例との併用時に戸籍の附票が必要なものだと思っていました。
そうではなくて、
相続時精算課税制度が開始した平成15年1月1日以後の住所等を確認して、過去の「相続時精算課税選択届出書」の提出が想定される
税務署へ照会をするためという、税務署側の事務手続きとしての必要書類だったのですね。
相続時精算課税制度を利用するときは戸籍の附票等に相当する書類を添付するようにしないと
税務署からの問い合わせ事由となりますので必ず添付してあげましょう。
もう一点、
相続時精算課税制度を受けようとした受贈者が、申告前に亡くなってしまった場合の同制度の手続きですが、
受贈者の相続人はその死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内に「相続時精算課税選択届出書」を贈与税の申告書に添付してその死亡した者の納税地の所轄税務署に提出することができます。
これにより、すでに亡くなられた受贈者において、相続時精算課税の適用を受けることができます。
また、通常の暦年贈与の準確定申告も10ヵ月以内となりますのでご留意下さい。
2014年12月23日|近藤会計
子や孫が住宅の建築を考えているのなら、非課税で資金の援助を行うことができます。
「住宅取得等資金の贈与の特例」を利用することで、親や祖父母から「子や孫」に対する住宅購入資金の贈与は一定金額まで贈与税が非課税になります。
この特例を適用するための要件がいくつかありますが、主要な点を確認します。
1. 贈与を受ける「子や孫」は贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること。
2. 贈与を受ける「子や孫」のその年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
3. 贈与を受けた年の翌年3月15日(贈与税の申告期限)までに住宅を取得し、居住すること。
上記2の要件から分かるとおり、贈与を受ける側が高額所得者であれば適用できません。お金持ちは自己資金でなんとかしてね、ということですね。
非課税となる一定金額ですが、2014年であれば以下のとおりです。
東日本大震災の被災者 | それ以外の者 | |
省エネ住宅等 | 1,500万円 | 1,000万円 |
それ以外の住宅等 | 1,000万円 | 500万円 |
なお、この特例は2014年12月31日で期限を迎えますが、平成27年度税制改正で期限の延長(平成29年12月31日まで)と、制度の拡充(非課税枠を最大3,000万円)が国交省より要望が提出されています。
改正の動向は分かり次第掲載いたします。
2014年12月17日|近藤会計
小田原の税理士の近藤慎之助です。
長年連れ添った配偶者に感謝の気持ちを込めて居住用財産の贈与を行うのはどうでしょうか。
20年以上連れ添った夫婦(内縁関係である場合は適用できません)間で、居住用不動産(その取得資金でも可)の贈与を行う場合には、2,000万円まで贈与税が非課税となります。
これを「贈与税の配偶者控除」といいます。
例えば、夫婦が一緒に住んでいる夫名義の居住用家屋とその敷地のうち、2,000万円相当の持ち分を婚姻期間が20年以上の妻へ贈与し、夫婦の共有とします。2,000万円分の財産を非課税で配偶者へ移転できることは相続税対策としても有効です。
また、この特例はいわゆる3年以内贈与であったとしても、相続財産に含める必要はありません。
ただし、注意して頂きたいのは、不動産の所有権を移転する際には、もらった側で不動産取得税と登録免許税が掛かります。そもそも相続税の心配がない家庭であれば、「贈与税の配偶者控除」を適用したばっかりに余計な税負担が発生してしまうことになります。
それでも、長い間共にすごしてきた配偶者の気持ちの表現であればうれしいものですよね!
2014年12月14日|近藤会計
小田原の税理士の近藤慎之助です。
政府は12日、少子化対策の一環として、「祖父母や親」が「子や孫」に対して、結婚や出産・育児関連の費用を贈与する場合、一人当たり一千万円まで、贈与税を非課税にする制度を導入する方針を固めた。(12月13日の神奈川新聞より)
制度の概要としては、「祖父母や親」が信託銀行等に「子や孫」名義の口座へお金をまとめて振り込んだ場合には一千万円までは非課税とされる仕組み。「子や孫」はそのお金を口座から引き出し、結婚披露宴代、出産費用、ベビーシッター代などに使えるとのこと。
「子や孫」は20歳以上が対象で、50歳時点でお金が残っていた場合には残金に対して贈与税が課税されるとのこと。
教育資金の一括贈与制度と似ており、結婚出産育児関係費用を祖父母や親が負担してくれたら、私世代はどんなに助かることか・・・また、教育資金と育児資金の2つの贈与制度を利用すれば相続税対策にもさらに影響を与えそうです。
平成27年の税制改正大綱に盛り込まれる見通しです。
今後の動向に注目です!